【安永竜夫】仕事の責任は最後まで持て。数字は達成せよ

2020/6/25
現在、世界65の国と地域で事業を展開。連結従業員数は約4万5000人。巨大商社、三井物産のトップが安永竜夫社長だ。社内序列で32人抜きという異例の抜擢を受け、2015年、三井物産史上最年少で社長に就任。1年目の決算では創業以来初となる赤字に転落したものの、翌年には見事にV字回復を成し遂げた。
主に化学や発電所などのプラント事業畑を歩み、担当した地域は五大陸を制覇。舞台は砂漠かジャングルかツンドラか。そうした過酷な地域で、ハードな交渉をまとめ上げ、いつしかタフネゴシエーターへと成長。
三井物産には「人が仕事をつくり、仕事が人を磨く」という言葉がある。安永社長は数々の修羅場体験をくぐり抜ける中で、デリバラビリティ(Deliverability)、すなわち想定通りに結果を出せる力を獲得していった。その仕事人生を振り返る。(全7回)

初の赤字転落

2015年、私は三井物産の社長に就任しました。しかしながら社長1年目の2016年3月期連結決算で、資源価格の下落により巨額の減損損失を計上し、三井物産として初めての赤字に転落します。
2016年3月期連結決算で初の赤字となる見通しを受けて記者会見する安永氏。(写真:ロイター/アフロ)
いきなり厳しい結果となりましたが、悪い面ばかりではありません。なぜなら平時より有事のほうが変革に取り組みやすいからです。赤字転落で社員の目の色が変わりました。
私はこのとき何を思ったか。