【安永竜夫】ビジネスを成功させる「人間力」と「座持ち力」

2020/6/23
現在、世界65の国と地域で事業を展開。連結従業員数は約4万5000人。巨大商社、三井物産のトップが安永竜夫社長だ。社内序列で32人抜きという異例の抜擢を受け、2015年、三井物産史上最年少で社長に就任。1年目の決算では創業以来初となる赤字に転落したものの、翌年には見事にV字回復を成し遂げた。
主に化学や発電所などのプラント事業畑を歩み、担当した地域は五大陸を制覇。舞台は砂漠かジャングルかツンドラか。そうした過酷な地域で、ハードな交渉をまとめ上げ、いつしかタフネゴシエーターへと成長。
三井物産には「人が仕事をつくり、仕事が人を磨く」という言葉がある。安永社長は数々の修羅場体験をくぐり抜ける中で、デリバラビリティ(Deliverability)、すなわち想定通りに結果を出せる力を獲得していった。その仕事人生を振り返る。(全7回)

「お前とならば」と思わせる

海外でビジネスをする上で常に心がけてきたのは、三井物産という会社だけではなく、自分自身を売り込むことです。
最後に交渉を成功させるのは、「おまえとなら話をしてもいい」と相手に思わせる人間力だからです。
私たちはもちろんビジネスで勝負していますが、やはり人間的魅力がないと関係は深まりません。