【西口一希】スマートニュースをアプリランキング1位に成長させる

2020/6/20
消費が動き出した今、再び「マーケティング」が注目されている。
P&G、ロート製薬、ロクシタンジャポンで、数々の売り上げ記録を樹立し、2017年にスマートニュースに参画。圏外だったアプリランキングを1年後に1位まで引き上げるなど、「結果を出すマーケター」として知られる西口一希氏。
意外にも、そのキャリアは華麗な成功録でなく、泥臭い失敗経験から得られた学びの蓄積だったという。「9segs(ナインセグズ)モデル 」「N1分析」など独自の顧客戦略理論を携え、新たな挑戦を続ける西口氏が初めて語る「仕事の哲学」とは。(全7回)

デジタルのマーケティングに挑戦

スマートニュースへの移籍を決めたのは49歳のときです。
ロクシタンでの結果が見えてきて、次をどうするか考え始めていた際に、ヘッドハンターからスマートニュースの話をいただき、興味を持ちました。
(出所)「スマートニュース」のアプリ
まず、これまで経験のなかったインターネットサービス分野への挑戦ができるということ。
現物の商品を扱う仕事で25年以上経験を積んできましたが、デジタルのマーケティングの世界に真正面から挑む機会を逸してきたことが、自分自身でも「パズルの足りないピース」のように引っかかっていたのです。
世代的には、その道を通らなくてもギリギリ逃げ切れるかもしれず、知ったかぶりで指示を飛ばして下の世代に任せる生き方もある。そもそも50代に差し掛かっての挑戦にはリスクもある。
それでも、挑戦してみようと思ったのは、やはり自分自身の成長を望む意欲が勝ったのと、「結果を出せそうだ」という予測が明確に立ったからです。これが移籍を決めた2つ目のポイントでした。
なぜ予測できたのか。
西口一希(にしぐち・かずき)/Strategy Partners 社長、Marketing Force 共同創業者
1967年兵庫県生まれ。1990年大阪大学経済学部卒業後、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネジャー、マーケティングディレクターとして、「パンパース」「パンテーン」「プリングルズ」「ヴィダルサスーン」などのブランドを担当。2006年ロート製薬に入社。執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。2015年にロクシタンジャポン社長に就任。2016年にグループ最高利益達成、アジア人初のグローバルエグゼクティブメンバーに選出され、社外取締役に就任。2017年スマートニュースへ日米のマーケティング担当執行役員として参画。2年で日米累計5000万ダウンロード、上場前の時価総額1000億円超のユニコーン企業化に貢献し、マーケティング戦略顧問に。2020年6月現在、事業コンサルタントと投資業務を行うStrategy Partnersの社長。顧客戦略構築を行うMarketing Forceの共同創業者。
実は、入社前にスマートニュースの顧客開拓のポテンシャルを探る事前調査を、ロート時代に開発していた9segsモデルで自前でやってみたのです。