【西口一希】ロクシタンジャポン社長に就任。最高売り上げ達成
2020/6/19
消費が動き出した今、再び「マーケティング」が注目されている。
P&G、ロート製薬、ロクシタンジャポンで、数々の売り上げ記録を樹立し、2017年にスマートニュースに参画。圏外だったアプリランキングを1年後に1位まで引き上げるなど、「結果を出すマーケター」として知られる西口一希氏。
意外にも、そのキャリアは華麗な成功録でなく、泥臭い失敗経験から得られた学びの蓄積だったという。「9segs(ナインセグズ)モデル 」「N1分析」など独自の顧客戦略理論を携え、新たな挑戦を続ける西口氏が初めて語る「仕事の哲学」とは。(全7回)
「OXY」売り上げを倍増
ロート製薬では、顧客起点マーケティングの実践をたくさん経験させていただきました。
すでにお話しした「肌ラボ」のほかに、男性用スキンケアや日焼け止めスキンケア、目薬、漢方薬など、さまざまなジャンルの商品に携わりました。
商品を売ることは、顧客を知ることです。高機能の目薬を求める人たちはどこにいて、どんなライフスタイルを送っているのか。肥満予防の漢方薬をドラッグストアで買う人には、どんな生活習慣があるのか。ラメ入りのリップクリームを好むのはどんな人なのか。
一つひとつの商品のマーケティングを通じて、私は多種多様な消費者の実像を研究し、具体的な一人をイメージしながら、「その人が買いたくなるにはどうしたらいいのか?」「何を提案すれば喜んでいただけるのか?」と考えてきました。
例えば、男性用スキンケアブランド「OXY(オキシー)」は、手軽に顔を拭き取れる洗顔パッドを提案するコンセプトでデビューし、新しいスキンケア習慣としてヒットしましたが、発売の翌年から「飽き」の反応が見られていました。
ヒアリングを重ねると、やはり朝の習慣として「パッドタイプ」は面倒で、継続しやすいのは「クリームタイプの洗顔剤」であると分かり、洗顔料を主軸にラインアップ構成を変更し、追加開発して再トライ。後発ながら、売り上げは6年間で倍になりました。
男のニオイをこそげ落としたい!
その後に投入した男性用ボディケア「デ・オウ」は、スーパー銭湯などで見かける「異様なほど体をゴシゴシ洗っている男性」を想定して開発した商品です。
ロートの子会社が香港で先行して売り出していたメントール入りの男性用ボディソープを日本でも展開するという話が持ち上がっていたのですが、「単にスッキリして洗い上がりがいいという訴求だけでは売れそうにないよね」と担当マネジャーと頭を悩ませていました。
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この連載について
ビジネスや働き方が多様化し、正解がない時代に、自分を信じて一心に仕事をする人たちがいる。そこにあるのは独自の「哲学」だ。仕事人のヒストリーをたどり、道標となった哲学を浮き彫りにしていく。
業績
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