[東京 14日 ロイター] - ソニー<6758.T>は14日、AI(人工知能)処理機能を搭載したイメージセンサーを商品化したと発表した。従来はスマートフォンのカメラ向けなど画像を捉える「イメージング」のセンサーが中心だったが、画像データ以外の情報を生み出す「センシング」の技術の比率を高め、半導体事業の成長を図る。

ソニーセミコンダクタソリューションズの染宮秀樹事業部長は「イメージングのナンバーワンを堅持しながら、センシングでもナンバーワンを目指す」と述べた。センサーデバイスのハードに加え、エッジAI処理などのソフトを組み合わせたソリューションを小売店や産業機器業界などに提供し、リカーリング収益モデルの取り組みを進める。AI処理機能搭載のイメージセンサーは世界初といい、4月からサンプル出荷を始めている。

イメージセンサーが捉えた画像を分析する際、情報処理ネットワークの末端(エッジ)でデータをある程度、処理すれば、転送するデータ量が画像データそのものに比べて大幅に少なくなり、サーバー側の処理負担が軽くなる。転送の遅延改善が見込まれるほか、個人情報の保護や低消費電力・低通信コストが図れるという。

ソニーの半導体事業の2020年3月期売上高は1兆0706億円。売り上げの中心は2000年代半ばには同社のゲーム機「プレイステーション(PS)」シリーズ向けLSIだったが、2010年以降はイメージセンサーへと軸足を移してきており、足元の割合は87%となっている。イメージセンサーのうちセンシングは19年度の売り上げの4%。これを25年度には30%まで引き上げることを目指している。

(平田紀之)