「ネコ同士」でも感染拡大 新型コロナ、症状は見られず
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ご興味のある方向けに、研究内容の詳細を補足させていただきます。
本論文は、米国の権威ある医学誌、NEJM誌に掲載されたものです。まず、3匹の猫の口や目から直接ウイルスを投与し、それらの猫への感染を確認しています。
その後、それぞれの猫を別の場所に住まわせ、そこに過去に感染のない猫をそれぞれ1匹ずつ同居させて、ネコーネコ感染が成立するかを観察しています。
すると、3組のいずれもで、3-5日目に感染伝播が確認されています。ただし、3組6匹の猫でいずれも症状はなく、5日程度のウイルス排出期間を経て、ウイルスの消失が確認されています。
これらの知見から、ネコ同士が群れれば無症状のネコーネコ感染が生じることが確認されました。
なお、本試験では猫の体温が日々測定されていますが、猫の平熱は38-9度と人間より3度ほど高いということを恥ずかしながら初めて知りました。医学雑誌にもコロナウイルスのアウトブレイクを通して実に多種多様な研究報告が上がるようになり、勉強になるばかりです。
また、体重減少なども見られておらず、嗅覚障害や味覚障害などもネコには起こらないのかもしれません。
ちなみに、ネコーヒト感染はいまだ確認されていませんが、ヒトーネコ感染はすでに観察されていること、無症状のネコーネコ感染は良い確率で起こりそうなこと、別のウイルスではありますが、インフルエンザではネコーヒト感染が確認されていることから、主要な感染経路の一つになりうるかは別として、非現実的な感染経路というわけでもなさそうです。
ソーシャルディスタンスをお願いできないネコたちに感染拡大が生じ、ネコーヒト感染が一般的になったりすると、人とも密接に関連する生き物ですから、感染管理はとても厄介になり、感染拡大も予想を上回るものになりそうですが、そこはまだ解明が必要なところです。
文献: https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2013400?query=featured_home