議員報酬返納は、国民の生活苦に寄り添う覚悟を示す

経済危機に国民があえぐ一方、政界では20%議員報酬返納や10万円一律給付金の使途を巡る議員の給与に関する議論が発生した。議員報酬返納という行為については、今後もますます厳しい経済局面を迎える中で度々議論が起きるものと思う。

女性が候補者ポスター掲示場の前を通り過ぎていく
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議員報酬返納は、国民の生活苦に寄り添う、という覚悟を示し、政府が進めようとする経済的に厳しい政策に対する社会的コンセンサスを醸成するという点では意味がある。逆に民が塗炭の苦しみを味わう中で、国会議員等だけが巨額の議員報酬にあぐらをかいている状態であれば、国民からの協力が得られずに政策の効果が落ちる可能性がある。議員報酬返納は国会議員が政策を進めるうえでの上手なカードの1つと言えるだろう。

他方、現在予測されている巨額のGDPマイナスの未曽有の不況の中で、お金を使うべきではなく節制すべき、というメッセージを国民に送る可能性も指摘されている。議員報酬は議員自らが決めることではあるものの、国民に自ら給与を削る姿を見せることは財布の紐をさらに固くする社会イメージを作り出すことになるかもしれない、という意見だ。これも一理ある主張であり、どのような政治的な行為にもメリット・デメリットは存在しているものだ。