【宮田裕章】最大多数の最大幸福を考える世界から個別化への転換

2020/5/28
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受け、厚生労働省とLINEなどが4回にわたって実施した「新型コロナ対策のための全国調査」。
このプロジェクトの実現に尽力したのが、NewsPicksの番組「WEEKLY OCHIAI」のレギュラー出演者としてもおなじみの宮田裕章教授(慶應義塾大学医学部)だ。
宮田氏の活動領域はコロナ対策だけにとどまらない。2025年大阪・関西万博のビジョン構築や全国的な医療データベースの整備、世界経済フォーラムにおける政策提言など、「医学部教授」という枠を超えて多岐にわたる。
それらに共通するのは「データサイエンスなどを駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くする」という信念だ。
では、データは実際にどのような効果を社会にもたらすのか。我々は今後、どのようにデータに向き合っていけばいいのか。独特のファッションの秘密にも触れながら、宮田氏の思想に迫る(全7回)

個々人をデータで捉え体験を提供

データによって人々の体験は大きく変わりつつあります。
先日に経団連から提案されたDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する提言書においても、最も重要なことは、「モノをつくるのではなく、個々人をデータで捉えて体験を提供する」という社会経済活動に移行することだと示されています。
DXのもともとの概念は、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」です。
この概念は、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏によって提唱されました。
デジタル技術やデータによって、人々の生活や体験がどう変わるのか。Netflixを例に考えてみましょう。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、私たちはStay Homeを余儀なくされました。そんな中、躍進したのがNetflixです。