[デトロイト 11日 ロイター] - 全米で封鎖措置が緩和される中、自動車産業が集積する米中西部ミシガン州では11日、複数の自動車部品メーカーが工場を再稼働させ、今月18日の自動車メーカーの生産再開に備えた。ただ、新型コロナウイルス感染の第2波に対する警戒は強い。

「来週からの受注を見越して、今週、部品鋳造工場を再稼働する」と電話で語ったのは、エンジニア・鋳造・機械加工技術のブッシュ・パフォーマンス・グループのジョー・パーキンズ最高経営責任者(CEO)だ。

同社はコロナ禍で自動車工場が休業となる中、必要不可欠な業種と見なされている非自動車部門の顧客に部品を供給してきた。例えば、 農業機械メーカーのディア<DE.N>や空調機器などを製造するエマソン・エレクトリック<EMR.N>だ。今週に入り、自動車向けの工場を再稼働するとともに、職場復帰した従業員に対し、感染予防に関する研修も行っている。

米自動車ビッグスリーのゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>、フォード・モーター<F.N>、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)<FCHA.MI><FCAU.N>はこれまで、北米工場の生産を今月18日に再開する計画を明らかにしている。

自動車部門は米国の国内総生産(GDP)の6%を占める主要産業で、米国人の従業員数は83万5000人余りに上る。

ロイターの集計によると、米国の新型コロナウイルス感染症による死者は11日、8万人を突破。感染者数は累計で134万人超となった。ミシガン州の死者数は4500人強と、全米50州の中で4番目に多い。

別の工業州、オハイオでは、多数の小売店が12日からの営業再開を認められた。

感染拡大が深刻なニューヨーク州でさえ、州内の一部地域で今週末から行動制限を緩和する方針を示した。

全米50州のほぼ全てが、経済的苦境を和らげようと、外出制限の緩和を決めている。新型コロナの流行は1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以降で最大の雇用の落ち込みを引き起こし、米議会では大型の景気対策が成立した。

11月の大統領選で再選を目指すトランプ大統領は経済再開を推進する姿勢を鮮明にしてきた。11日のツイッターへの投稿で、野党民主党が政治的な利益を得るために州経済の活動再開を遅らせていると改めて批判した。

一方、公衆衛生の専門家らは検査体制を大幅に拡充するなど万全の対策を取ることなく性急に経済を再開すれば、感染の再拡大を招く恐れがあると警告している。世論調査によると、米国民の大半も感染再拡大を懸念している。