【決算分析】コロナで露呈した三越伊勢丹の「旗艦店依存」
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小売りの世界では、三越伊勢丹の基幹・旗艦3店舗に出店することは名誉かつ存在感を示すには重要なことでした。ただし同3店舗だけに出店することは三越伊勢丹とのB2B取引上は許されないこと。そのために他の店舗にも出店が求められてきました。三越伊勢丹でも同3店舗への依存度が高く小売り企業側も本音ではそこだけ出店していればいいという構図のリスクが今回、顕在化したわけです。小売りでは、リアル店舗とデジタルを融合することが生き残りのためにアフターコロナでは求められてくるでしょう。その場合、「危機は定期的にやってくる」ということもニューノーマルになってくると、小売り企業側では、百貨店内ではなく銀座等の路面店をショールーミング店舗の基幹・旗艦にしてくることも予想されます。「危機は定期的にやってくる」というニューノーマルにどのように対処していくのかが問われてくると思います。
損益分岐点が高いのは「不動産に関わる固定費が多い事業構造」だからではないと思っている。単純に、元々の利益率が低い結果として損益分岐点が高くなっているだけ。
例えば三越伊勢丹を見ると、減価償却費は約300億円で売上1.2兆円に対して2.3%。例えばファストリは2.1%、ニトリ2.6%などと他業態を見てもそんなに高いわけではない。むしろ一等立地を保有していて資産価値は高く、また建物もずっとあるから減価償却はほとんど終わっているのでは?(そこまで見ていないが)
逆に丸井は売上高に対して減価償却費は3.9%。有形固定資産回転率も三越伊勢丹1.52に対して1.43と少し重い。でも記事にあるデジタルシフト含めて「元々百貨店だったメリットを活用した金融・不動産ビジネス」に変化している。常時の営業利益率は10%前半、三越伊勢丹は2%前後。毎年10%儲けが違えば、再投資や分配といった経営オプションは全然広くなる。
なお、これだけよい立地を確保して高単価商品が中心で、また百貨店の売上計上にかかる会計処理(消化仕入)とかがあるのに、自社で企画などからやっていて在庫リスクを負っている業態と比較しても儲けがここまで小さいといった点を考えると、構造課題は相当に根深く…コロナによって業績が見通せない中、必要最小限の事実しか公表されない企業もあれば、あえて今だからこそ業績予想をしっかり発表するという企業。各社の決算会見に参加すると経営陣のカラーや、リーダーシップの強さが色濃く見えてきています。
三越伊勢丹の杉江社長は、足元の売り上げを元に、業績のシュミレーションを出されていたのが、早いなと思いましたが、業績予想は発表されなかったのは、多くの企業と同じでした。
百貨店という業態の特性上、非常事態宣言の解除の仕方、海外の動向などが影響し、この局面で打てる対策が限られていることが影響していると思われます。
中長期を見据えた方向性としては、引き続き、オンラインの強化をあげていましたが、あっと驚くようなビジョンは出て来ず、伝統の長い企業の変革の難しさを感じた会見になりました。百貨店は、どうやって生まれ変わったらいいのでしょうか。