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CEOの解選任と継承で、マイクロソフト、IBM、エス・エム・エスなどの成功事例を挙げておられますが、こここそがガバナンスの本丸ということについては首肯させられます。ここで転けて失敗事例になるケースは、まさに死屍累々ですから。創業者ガバナンス賛美に対する懐疑も参考になります。
日本のガバナンスは着実に前進してきていると思いますが、まだまだ過渡期にあることも事実です。共同体的な企業文化が強い土壌で、欧米型のガバナンスをどのように体内化できるのか興味深いところです。仏を作って魂入れずの状態になっている会社が少なからずありますが、成功事例が増えるにつれて入魂の度合いも変わってくるはずです。それが、日本経済の持つポテンシャルを引き出してくれると信じています。
シニフィアンスタイルの記事は、前回の投資家とのコミュニケーションについても深掘りされていて、今後要マークになりました。
追伸: Voicyも、いま聴きました。非常に良いですね。アスクル・モデルは注目です。
報道などで 選任解任の記事を見ることも多いが、社外取締役候補をどのように決めているかどうかはあまり語られていない。 社外取締役については「知っているこの人がいい」という決め方ではなく、スキルマトリックス・ ダイバーシティマトリックスに基づき人材要件が指名委員会(任意も含む)などでまず議論 合意され、複数から候補者が絞られてくるケースが増えていると感じる。
株主総会招集通知に、それぞれの取締役のスキルと取締役会全体としてのバランスを選任理由とともに掲載する企業も増えてきた。
企業価値の向上の為に 顧客、社員、株主 そして社会の目を持って「ものが言える社外取締役」を選任する必要と理由は明白。
日本は大手・上場企業から始まった変化だが、取締役会における社外取締役の割合が高くなってきたスピードは、歓迎すべき変化。
> 『朝倉:例えば、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の要件を満たさなければいけない、自分たちで社外取締役を探してこなければならない、といった必要に直面した際に、社長としては当然、「どういった人なら引き受けてくれるか」「一緒にやりやすい人を選びたい」といった視点で探しますよね。』
これはその通りだと思います。
また、逆もまた然りです。社外取締役も多くは社長に迎合しながら仕事をしています。
とある社外取締役マーケットの最前線にいる某女性から最近伺ったところによると、「私みたいにビジネス経験のある女性は良い会社を選び放題。でも、男性のおじいちゃんたちは、結構社外取締役の席をとるのに競争が激しくて、でも結構美味しい仕事だから社外取締役になりたくて、会社や社長にすり寄りながら仕事をしてしているのよ」だそうです。
——
ちなみに、私は複数の会社で社外取締役に就いていますけれども、ディシプリンを持って「株主に仕えるガバナンス専門職」としての仕事をしたいので、マイルールを敷いています。
マイルールとは:
1. ビジネスの成長に確信がある & ビジネスなりファイナンスなりの切り口で自分が株式価値向上に貢献できる会社に就く
2. 社外取締役が単なる数合わせで、社長が予定調和型の取締役会を期待しているのなら、「私じゃないですよ」とお伝えしてオファーを辞退しています
3. 自身が株式を保有させてもらえる会社。本当はSOの方が自分はノーリスクで良いのですけれど、それだと自分に規律がなくなるので、リスクマネーを投下する。自己資金で株式を保有して会社が成長しないと出資がパーになるので、自分ごとで頑張れます
上記事前のマイルールがOKでも、後々社長なり業務執行サイドの役員の言動が「株式価値最大化」という観点からで納得できなくなったら、やるべきことをやって、それでもダメならたぶんすぐに退任します。 自分の場合は、自身のレピュテーションを大切にしていますし(= 取締役としての自分に信頼して投融資してくれる方がいるのを知っている)、経済的に困っていないので収入がなくなることは怖くないです。
マイクロソフトやIBMのように、株主・社外取締役主導といった外部からの働きかけによるCEO交代事例もあれば、エス・エム・エスのように、代表自らが主導して経営を承継した内発的な事例もあります。
いずれのパターンにせよ、どのような事態が生じれば経営体制の再検討を講じるのか、予め検討タイミングにおいて「フラグが立つ」仕組みを作っておくのが、1つのポイントではないでしょうか。
・文中の創業社長の方が優れてる議論は、「人々が経営者に求めるものの違い」だと思います。つまり人々は創業者にはある種の「熱狂」や「壮大な夢」みたい偶像的な利益も求める。一方でプロ経営者には「利益」や「プロダクト」という実像的な利益を強く求めている、ということだと思います。
・社外取締役との関係はある意味で「作家と編集者の素晴らしい関係」と同じだな、と最近感じます。作家が本質的に編集者に求めるもものとは、「耳が痛くなるようなこと」をずばっと、ただしリスペクトを持って進言してくれるか、だと思います。
面白い記事です!
普通に伸びているときに、将来に備えてチャーンやスケーラビリティに備えることは、資源配分として悩ましい。今の成長を多少犠牲にしたり、コストを増やすから。一方でそれをやっていかないとどこかで成長の限界が来るし、またその時から直すのはむしろ大変なことが多い。
創業時は、犯罪・ハラスメントはもちろん問題外だが、ガバナンスよりプロダクトを創る・作る・売るが重要。一方で規模が大きくなっていけば、サービス提供者としても雇用主としても責任が増えてくる。
ガバナンスは、常時では資料・ロジックの準備やその説明など、コストであることが少なくない。ただそれを面倒だと考えれば、事前につぶせていたリスクをつぶせていないことも出てくる(もしくは業績が伸びていない・適切な資源配分ができていないという「不都合な真実」に客観的な厳しい意見がでてこない)。またそもそもそういう経営者がしっかりしたガバナンスを創ろうとするかという意思自体が、内省力の示唆だと思っている。内省できない=成長できないだと思っている。
個人的には、ソフトバンクG孫氏がここまで巨大な企業グループを創りあげた実績はすさまじいと思う一方、ここ数年投資に傾斜する中で永守氏・柳井氏が辞めたことは示唆的だと思っている(柳井氏の場合はヤフーのZOZO買収というコンフリクトが起こったということもあるとは思うが)。
なお、MSについては自分は異論。ナデラ氏の功績は素晴らしいと思うが、その下準備はバルマー氏の時代にあった。
ITバブルのピークでゲイツ氏から引き継いで、株価ではやはりその後の低下は避けられない。そのなかでWindows→OfficeなどでEPSを伸ばし続けた。スマホやクラウドに乗り遅れたなど、もちろんできなかったこともあることは否定しないが、株価とナデラ氏だけを見て、一般的に評価が低すぎると思っている。
この分野は、世の中の本で勉強しようとしても、なかなかよい書籍や論文がありません。その点、記事に書いてある内容は、国内外の事例に基づくと同時に、理論的な裏付けもしっかりしており、非常に参考になります。本記事にあるマイクロソフトやエス・エム・エスなどのグラフは、2月に福岡の会議で拝見し、その後も機会がある毎に勉強しています。
このような形で、より広く世の中に問題提起して頂き、感謝しています。
(注)私が経営するスタートアップと本記事の筆者との間には、出資等の利害関係は一切ありません。
また、社外取締役はどう決まるかは、ここでは透明性の高い米国企業が紹介されているけど、SOCILTAI(社会的コネ)で米国社外取締役の約8割は決まっているなんて実証研究もあるぐらいなので、米国すべてがすごいと思わないことも重要だと思う。
ここに出てくる企業はお手本。
断言できるのは、社外取締役一人いただけでは、空気に飲まれて社内取締役の解任確率は上がりにくいってこと(株主価値の視点から、業績と選解任は本来はリンクすべき)。
以下、5年前のpickです。
https://m.newspicks.com/news/859991/
記事にある通り、創業者・社長のお友達を社外取締役にするのをやめればさらに良くなると思います。
米国企業は過度な株主重視、ROE経営から、環境や従業員、地域社会を重要視する経営へと方向転換しているので日本は欧米の良いところは取り入れつつ、近江商人の三方良しに代表されるステークホルダーを大切にする姿勢は残したコーポレートガバナンスを築いてほしいです。