孫正義氏、新型コロナの抗体検査キットを無償提供 医療機関など向け
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注目のコメント
第1次入荷の15万個は既に提供先が決定し受付を終了したようです(※孫さんTweetより)。これまでのコメント欄や記事で議論されてきたように、ある1つのキットで陽性と検出されることが今後の100%の安全を保証するものではないことは気をつけなくてはならないことです。今世界中で必死にデータが集められています。
新型コロナウイルスへの抗体だけを"特異的に"検出することができるデザインになっているか?(たとえば、他のコロナウイルスへの抗体をも同時に検出してしまうと特異的とは言えない)
正しく陽性と判断する感度と、正しく陰性と判断する特異度がどの程度か?
キットはロット間で精度がどれくらい安定なのか?
など、”このキットでわかることとわからないこと”、"使用者に説明すべき内容"が整理された情報と共に配布されることを期待します。
※孫さんTweet
https://twitter.com/masason/status/1259038943913238528?s=20
感染症専門医の忽那賢志先生による抗体検査の解説記事
マドンナが抗体検査陽性 その結果の正しい解釈は?
https://newspicks.com/news/4888170うーん。。COVID-19をみている医師としても使い道には少し困る。一般でなく医療機関に配ることについては評価できると思うが。
抗原検査キットであればPCRより感度が落ちるとはいえまだ使い道はあるように思うが、抗体検査を使おうという気になるだろうか。。
1, 発熱や乾性咳嗽、呼吸苦等の症状で来院したケース
基礎疾患の有無や喫煙歴、採血・画像所見等を考慮した上で、検査前確率が高い(COVID-19を強く疑う)症例にはPCR検査を行います。この必要な人への検査拡充が十分でない、あるいはクリニックにおいてその実施プロセスが非常に負担になっている場合、「抗原検査」であれば確定診断のための検査として効果を多少期待できます。
※ただしいずれの検査も偽陰性が多いため、陰性だからといって安心できることにはなりません。
疑ってる場合、現状のデータ不足の中で抗体検査はあえては選ばないです。
2, 『既にかかってるか知りたい』不安解消ケース
研究がまだ不十分で、「抗体価がどの程度で再感染/再発症リスクがなくなるのか」や「どの程度の期間で抗体が得られるか」など分からないことが多すぎる現状において何となく抗体検査を行うことは、無駄な安心を引き起こすことになるためやりたくありません。
また抗体が陽性だとしたら「今感染している可能性」も考えなければならなくなるため結局自宅安静を指示せざるを得ませんし、ハイリスク患者で抗体陽性の場合には(医師側も心配なので)無症状でもPCRなどを検討せざるを得なくなるかもしれません。精度もよく分からん抗体検査でそうなると、本当に必要な人がPCRを受けられない状況をむしろ悪化させる危険性もありますね。
<抗原と抗体の問題>
最近メディアで矢継ぎ早に色々ニュースになりますが、抗原検査と抗体検査は全く違います。簡略化していうと、抗原は今の感染、抗体は今までの感染を示します。例えば胃癌のピロリ検査では、最初の検査は抗体検査(血液検査etc.)でもokですが、除菌判定は抗原検査(便検査)で行わなければ意味がありません。除菌後も抗体は残るからです。
※ピロリ検査の場合はデータが蓄積され、抗体検査でも感度・特異度ともに抗原検査に劣らないことが分かっています。
このあたりの検査特性を理解していないと、無駄な期待に繋がってしまうので注意です。記事中の資料を見ると中国INNOVITA社のもので、もしそうであれば中国とEUで承認されたもののようですね。一定の性能評価はされたものと思います。
個別の検査である状況では、どう使い、結果をどう評価するのか難しいところです。
アメリカでは抗原検査が承認され、日本でも近々承認されるような感じですね。それぞれの検査法の性質、意義、限界を正しく理解して、正しい感染対策、判断に生かされることを望みます。