[ワシントン 8日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は8日、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスを巡る不確実性が高いとして、世界経済の見通しを下方修正する可能性があると示唆した。同時に、米中貿易戦争が再燃すれば、コロナ禍からの回復が遅延すると警告した。

IMFは4月に発表した最新の世界経済見通しで、2020年の世界の成長率は3.0%落ち込むと予想。新型ウイルスの感染拡大で経済活動が停滞し、1930年代の大恐慌以降で最悪の景気後退になるとの見方を示した。[nL3N2C242C]

これについてゲオルギエワ専務理事は欧州大学院(EUI)が主催したテレビ会議形式のイベントで、多くの国の最近の経済指標はすでに悲観的な3%のマイナス成長予想を下回っていると指摘。「ワクチンや治療薬がない中、一部の国・地域では状況が一段と悪化する恐れがある」とし、「新型ウイルスは未知のことが多いため、見通しを示すのが難しくなっている」と述べた。

感染が広まる中、トランプ米大統領は新型ウイルスへの対応を巡り中国に対する批判を強めており、新たな関税措置などを発動して対応する可能性があると示唆。ゲオルギエワ専務理事は、保護主義が再び台頭すれば世界的な経済回復が重大な局面で頓挫する恐れがあるとし、「自国の国境の中に引きこもる傾向に対抗していくことが極めて重要になる」と述べた。

その上で、世界的な貿易の再活性化が世界経済の復活に必要不可欠とし、貿易を活性化できなければ「費用が増大する一方で所得は減少し、世界の安全性は低下する」と語った。

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