【任天堂】「あつ森」爆売れでも、減収減益予想の理由

2020/5/8
過去最高の販売ペース──。
任天堂が3月下旬に発売したニンテンドースイッチ向けソフト「あつまれ どうぶつの森」(あつ森)が発売6週で1341万本という販売記録をたたき出した。新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり消費もあり、任天堂で過去に類を見ないペースで「爆売れ」しているという。
ゲーム機「ニンテンドースイッチ」本体の売れ行きも良く、2020年3月期は営業利益が同4割強も伸びた。4月以降も「あつ森」ブームは続き、スイッチも購入殺到で品薄状態だ。今後の快進撃に期待がかかる。
友人らと一緒に日常生活を楽しむ「あつまれ どうぶつの森」が任天堂ゲーム史においても快進撃(写真:任天堂HP)
にもかかわらず、任天堂はすでに始まっている2021年3月期は営業利益が約15%減るなど、「減収減益」を予想する。巣ごもり経済でゲーム業界が活況を呈す中、なぜ業績が下がるのか。
実は任天堂には「4年目のジレンマ」がある。
一般に、6年前後の製品ライフサイクルの家庭用ゲーム機は、ライフサイクル後半にかけて市場が成熟化し、売り上げも利益も落ちてくる。その点、2017年3月に発売したニンテンドースイッチは「4年目」を迎えた。
だが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の時代に、なにもゲーム機とゲームソフトの販売を伸ばすことだけが、業績拡大の手段ではない。任天堂にとっても、サブスクリプション(サブスク)サービスを含めたデジタルビジネスが成長のカギを握っている。
家庭用ゲーム機「プレイステーション」を手がけるソニーの業績も踏まえながら、ゲーム業界のビジネス構造と、ゲームビジネスの変革を読み解こう。 
Index
 ☑️ヒットは「あつ森」だけじゃない
 ☑️待ち受ける「4年目のジンクス」
 ☑️業績のピークは3年目
 ☑️有料会員1500万人超え
 ☑️ソニーの利益はほぼサブスク

ヒットは「あつ森」だけじゃない