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すごいですね。ここに至るまで、NYTが社員数を4分の1に減らしていることは特筆すべきことだと思います。

NYT社の正社員は、2000年には1万4000人いましたが、2013年には3529人と4分の1になりました。その後、デジタル有料版が成功したため、2018年には社員数が4320人まで増えています。なぜNYTは反転できたのか。

サンデー毎日で「2050年のメディア」を連載している下山進さんが、その様子を第1回で端的にまとめています。
https://mainichi.jp/sunday/articles/20200302/org/00m/040/008000d

下山さんは日本のマスコミの「前うち」を批判し、最後にこうまとめています。

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今後は、そうした「前うち」報道にはりついてきた記者の数は減らざるを得ないだろう。その代わりに重要になってくるのは、現在の新聞社にほとんど不在である「編集者」の役割である。
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私も編集者を自称しているので、面はゆいのですが、「編集」という仕事の重要性が高まっていることは間違いないと思います。編集は、いわば「届け方」の技術です。編集者は記事は書きません。だからデジタル時代には不要になるとも言われました。やることは、いまどんな記事が必要なのかと考え、その記事がより広く読まれるための戦略を立てます。

編集のことを論じるとキリがないので、ここでとどめますが、NYTの成功は「編集」の価値をあらためて示していると思います。
電子版で増収増益とは驚き。報道機関が生き残るには独自の視点で、かつその分野の専門家が読んでも納得のいく内容であることが不可欠だと感じます。あとは有料記事と無料記事を使い分けるセンス。日本の場合、新聞社が読ませたい記事ほど読者にはどうでもいいと思われがちで、どうやって引き込むかの仕掛け作りの努力が足りないと感じます。

欧米が善で日本が悪とは言えませんが、一般論として欧米は新聞社が専門的な視点で掘り下げて記事を書き、通信社は日々のニュースを粛々と流すことを主軸にしながら専門記事も出していくのに対し、日本の新聞社は通信社と分業できる”発表もの”まで自前主義な点でしょう。そろそろ是正しないと人がいくらいても足りないし、前向きな人員削減ができません。

そして、海外では記者の取材分野が決まるとかなり長い期間担当します。下手すればリタイアするまで担当が変わりませんが、日本は1年か2年で変わってしまい、専門知識を得る前に異動してしまいます。これで掘り下げた記事を書けというのはかなり酷です。日本も最初の数年はあれこれやるにせよ、記者が専門を持たない限り読者がカネを払いたい記事を出し続ける(1回ではダメ)のは無理でしょう。

また、ほぼ日本にしかない記者クラブ制度も、会社の看板でネタを取れてるのに自分が偉いと傲慢になる記者を生み出す要因で、考え方を改める時期です。特に50代以上はフリーになったら使い物にならない傲慢記者が多いですね。1人支局だと王様みたいに威張り腐っている人が首都圏の空港にもいます。

会社が変わると同時に、記者には取材力と編集力、横断的な企画力、マネタイズ力、テクノロジーを追い続ける好奇心、あと海外とやり取りできる度胸(語学力ではなく)といったものが不可欠になります。会社員体質の記者に明日はありません。
NYTは最もニーズが高いであろうコロナ関連記事は無料公開して、それが新規顧客の開拓に繋がっている。実は料理レシピもかなり充実しているのだが、ロックダウンで料理する人が増えた影響でこれも好調らしい。ソーシャルディスタンスを可視化するためにスマホカメラと連動するアプリもリリースしている。新聞「も」発行するメディア企業への移行を終えており、日本の業界からはもはや背中が見えないほどに遠い存在
このままでは潰れるとまで言われたニューヨーク・タイムズのV字回復のきっかけとなったデジタル戦略の基盤は2014年にまとめられた社内文書「イノベーション・リポート」を読むと理解できます。

最近の情報もまとめて解説した連載記事があるので、そちらを見てもらえれば。https://note.com/masurakusuo/m/m72b6dbabc36b

NYタイムズの社員の急減についてですが、これは関連するメディアグループの売却などが主な要因で、いわゆるNYタイムズの本体は紙を主戦場にしていた人たちにリストラの嵐が吹きましたが、デジタル人材を大幅に強化し、記者の数もむしろ増強しています。

選択と集中ですね。日本のメディアのデジタル化との違いはイノベーションリポートに記された次の言葉に端的に現れています。6年がかりで彼らはそれを実現しました。

「これからの数年で、NYタイムズは素晴らしいデジタルコンテンツも出す新聞社から、素晴らしい新聞紙も発行するデジタルメディアへの変革を加速する必要がある」
うらやましい限りです。そして「なせばなる」という希望でもあります。トランプ大統領誕生とコロナ禍、このジャーナリズム本領発揮の機会で見事な仕事をしたこと。さらに「アフターデジタル」の世界をいち早く体現したこと。実は変わったことをしたわけではなく、誰もがやるべきと考えることをやり切った結果です。2000年代前半、紙の広告の激減で経営危機に陥り、報道でもイラク戦争の御先棒を担いだと批判され、存続すら危ぶまれた時代が嘘のようです。最近も#metoo 運動のきっかけとなるハリウッドのセクハラをスクープするなど報道は躍動しています。がんばろう、日本の新聞も。
新型コロナは、変化のスピードを上げているのだけであり、新型コロナをきっかけにNYTが伸びているわけではありません。
積み重ねてきた改革の成果が出ていると理解すべき。

デジタル・トランスフォーメーションに関する読み物としては、2014年のNYTの内部文書を超えるインパクトのものに、そう出会いません。

以下はその解説です。
「リークられたNYT内部文書にみるメディア企業の危機感」
http://kazuyonakatani.com/newyorktimes_report_1/
購読料収入は5.4%増、広告料収入は15.2%の減(うちプリント版広告だけでみると20.9%減)。
マーク・トンプソンCEOは昨年、紙のNYTの寿命について「紙が利益を出せるのはあと15年か、もう少しだろう。その時点で我々は、紙の発行を止めるかもしれない」という見通しを述べていました。
広告料収入に支えられてきた面が強いのがアメリカの新聞の特徴ですが、購読料モデル、特にデジタルのサブスクリプションで支えるビジネスモデルへの転換という、トンプソン氏が敷いてきた路線がコロナ下で加速した形です。
電子版購読者(料理・クロスワードアプリ含む)が500万人、紙の購読者が84万人。電子版の伸びに依存する収益構造になってきたのは、アメリカの新聞で初。
デジタル化で「世界紙」に変貌し、最強の複合メディアとなったNYT。WPやWSJも絶好調のようです。他方でデジタル化で遅れる地方紙の消滅するペースも早くなっているのは何とも言えないところ。特にコロナ禍は宅配にとっても、現場に足を運ぶ取材にとっても大きな試練
ニューヨーク・タイムズが発表した2020年1~3月期決算は、売上高が前年同期比1%増の4億4363万ドル(約470億円)、純利益は9%増の3285万ドルだったとのこと。3月末の電子版契約者数は389万7千人で昨年12月末から58万7千人増えたそうです。