【3分解説】コロナはこうして「政争の具」になった
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トランプ大統領の「解放せよ!」のツイートは、文化大革命の毛沢東を彷彿させる。ミシガンで銃を片手に叫んでいる姿は、紅衛兵のイメージに重なる。米国は、コロナで社会的に変質しつつあるかもしれない。
注目のコメント
不満は政治的なエネルギーです。政治をやろうという人間の中には、不満がたまっているのを活用しようとする人間が必ず出てきます。人々の間にある、本人たちさえ意識していない不満を見出して誘導した時に起きる効果は、時に政治勢力の大小をガラリと入れ替えます。
「反ロックダウン・デモ」が起きているのは米国だけではありません。ドイツでも相当の規模のデモが起きていて、主導しているのは野党「ドイツのための選択(AfD)」や反移民の主張を掲げてきた政党です。
ブラジルのボウソナーロ大統領などもロックダウンに否定的な発言を連発しているし、中東やアフリカを見ると、国家元首や宗教勢力が、やはりロックダウンを拒否しようと呼びかけています。
こういった「反ロックダウン」の主張を後押ししているのは、人々が長期のロックダウンには耐えられない、という事実、つまり、たまっている不満です。デモに来ているのは陰謀論者や民兵組織など社会のハグレ者が多いでしょう。しかし、「反ロックダウン」が多くの人々が口に出せない不満を代弁していないとはいえません。米国の失業率は間もなく20%に達するでしょうし、ほとんどの国で、同様の失業率、社会不安が広がっていくでしょう。当初はほどんどの政府は迅速なロックダウンによって支持を受けていました。しかし、1か月も過ぎると、不満が噴出してきている、という国がほとんどです。トランプ大統領は先月、3つの州を「解放しろ!」(Liberate)とTweetしました。
行政権を担う大統領ではなく体制転覆を目論む革命家のような発言ですが、これがアメリカの現実なんだなと思いました。
アメリカはコロナで世界最多の死者を出してしまっていますが、野党民主党やメディアからはトランプ氏の責任だとする声が強まっています。専門家が否定するような非科学的発言を繰り返しただけでなく、実は1月下旬に中国の対応をべた褒めしていたのも話題になっています。
もちろんトランプ氏も反撃に必死ですが、そこで「経済再開」が絡んできます。サクッと読めるサイズにまとめましたので、ぜひご一読ください。現職の大統領が選挙で負けるというのは大変なことで、アメリカの政権が1期4年で終わったのは1970年代のカーター大統領まで遡ります。これだけグチャグチャにもかかわらず、世論調査では微妙に勝ったり負けたりぐらいです。それでも負けることもあるので、トランプが焦っているというのは正しいと思います。
反ロックダウン運動の人たちが言っていることを聞くと、まさに「リバタリアン」の思想だと思います。そういう思想がアメリカ人の中で一定の地位を占めることは確かだと思いますが、現状の世論調査では拙速な再開に不安を覚える人のほうが多く、デモをやっているのは「ノイジー・マイノリティ」です。
もちろん、失業に苦しむ人もいますが、実際に今感染しているのは、食糧や流通などで「今でも働き続けている人」(=主に貧しい人、マイノリティ)が圧倒的に多いという数値も調査で出てきており、安全が確保されない仕事場に戻るのは不安というのが当然です。
いずれにしても、こんなときに政争を優先している状況は本当に情けないの一言です。