投資家コミュニケーションを軽視すると何が現実的に困るのか?
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一にも二にも「困った時に助けてもらえなくなる」ということですよね。
会社がうまくいっていれば、丁寧なコミュニケーションをしなくても、違法行為でもしない限り株主は何も言いません。
でも困難に直面した時に、助けてもらえるか、それは普段からの関係によるところは大きいと思います。内部者(経営陣、創業者、従業員)が事業を捉える見方(言語)と、投資家が事業を投資対象として見る時の見方(言語)は、大きく異なります。
そのギャップには2要因があります。
・内部者は、ロジカルで財務的な捉え方・伝え方ができているか。また、1プレイヤーとしてだけでなくマクロ(市場構造)の中で自社の戦略・成長性を捉えられているか
・投資家は、その会社の「ビジネスモデル」を十分に理解できているか。
一点目はよく言われる点ですが、二点目は中々見過ごされがちな点のように思います。
機関投資家が投資先一社あたりに向けられるスタディ時間は限定的なため、開示や投資家説明がアンフレンドリーだと、わざわざ時間をかけて解きほぐして理解しにきてくれません。
他方、内部者は、自分はよく事業について(内部者の視点から)理解しているため、現状、投資家に対して如何にアンフレンドリーな説明になっているか、また、投資家が十分に事業を理解するためにどの程度の労力と時間が必要となるか、理解していないことがままあります。
つまり、事業が魅力的だ(素晴らしい投資機会だ)と投資家が納得するためには、内部者が、投資家に理解できる言語、ロジックで、時間をかけて投資家を「教育」する必要があります。株主の負託を受けている経営者が、株主に対して会社の実態を正確に開示することは本来負うべき当然の責務であるはずです。
一方で、事業の進捗が極めて悪い時でも耐えうるだけの財務的な体力のある会社であれば、そこまで投資家とのコミュニケーションを重視せずとも、事業継続上、現実的には大きな問題になりにくいという状況も、あるにはあるのでしょう。
ただ、現実にはそのような会社はまれです。
よほど財務余力に自信があるのでなければ、いざという時に備えて資金調達力を保つために、株主とのコミュニケーションには相応に意識を払っておくべきなのでしょう。