9月入学制、論点整理着手 来年導入、6月上旬にも方向性
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大学と受験生、高校や予備校の当面の課題としては、「入試がいつになるか」ということを考えざるをえません。例年通りであれば、試験をつくる側は、様々な準備をしています。
もし今年度に例年と同じ日程でやるのであれば、「大学の試験会場に何千人も集まる入試が実施できるのか」、そもそも、「センター試験に替わる共通テストは実施されるのか」といった問題があります。
いずれもできないという前提で、「書類選考のみで合格者を決めるのか」「もしやオンラインで入試をやるのか」といった検討もされているでしょう。
「今年度は入試はしない」=「2021年4月には入学生は来ない」ということであれば、入試は2021年前半に、従来通りのやり方でやれる、ということも可能になる、という思惑を持つ人々はいるでしょう。
もちろん、これは、そういう直近の話ではなく、就職活動や公務員試験のあり方にまで大きな影響のある話なのですが。「9月入学・始業制」を導入すること自体はあっていいと思います。ただ、この話の問題は、深刻な現状にフタをし、先送りしていることです。現在日本の児童・生徒の置かれている状況の的確な把握や改善、より良き未来への検討と実施が先です。
〇「学習の遅れを取り戻せる」??
既に多くの先進諸国、日本でも多くの私立校と一部の公立校(5%の自治体)では、双方向のオンライン授業、課題の提出とフィードバックが、毎日行われています。一方、ほとんどの公立校は、残念ながら「ほぼ放置」状態が続いています(もちろん、学校の先生方のせいでは全くなく、日本の教育行政の問題です)。「あと数か月間さらに放置すれば、差が埋まる」のではなく、埋めようが無いほど広がるだけです。
本来等しく保障されるべき、子供たちの「教育を受ける機会」が、住む地域や、通う学校の種別によって、大きく損なわれている現状、そして本来是正できることを、これ以上放置することは許されません。
〇「留学がスムーズに」??
海外への日本人留学生が大幅に減っているのは、「4月入学・始業」だからではなく、経済縮小で企業派遣留学生が減ったこと、日本の相対的な国力低下で海外の大学(院)が、日本よりも中国等の学生を選ぶようになったこと、日本の若者がより一層内向きになり、そもそも、人材のリボルビングドアがほぼ機能しない日本では、海外に出ることのメリットが小さい(と考えられている)こと等です。
ICT化について、文科省は「準備が完璧に整わないから、全部やらない。」これは最もダメな行動パターンです。(今回の補正予算の支援家庭向けタブレットとルーラーの配布は、今年度中に実現できるか分からないそうです。それでは全く意味が無いので、学校で機材を使うなど、代案を検討すべきです。)
実現は難しい、先生方が慣れていない、などのご意見もありますが、だからやらない、ではなく、子供たちのために、少しずつでもやってみる、ことが大切ではないでしょうか。実際に取り組んでいる自治体や学校も参考になります。
日本の多くの子どもたちが、6か月もの間(もっと!?)、学習の機会を実質的に失うことの損失は計り知れません。経済的救済と同様、教育の救済も一刻の猶予もありません。
https://newspicks.com/news/4869486?ref=user_5186216はっきり言って悪手です。影響範囲は大きく、そのため移行コストも大きく、その一方で最重要課題である子どもたちの学びの保障には直接的には影響しない優先度の低いアイデアです。今年9月にしても、来年9月にしても、それまでどうするつもりですか?
目の前の子どもたちの学びの保障に奔走している文科省が賛成しているとは到底考えられず、産業界への影響も多大なため推進は容易ではありません。なぜこのコロナウイルスの緊急事態の中で、このようなアイデアについて各省庁を動かすのか、喫緊の問題解決の視点では理解しえません。別の動機があるということです。
この問題については以下の記事に考えをまとめましたので、ご参照ください。
https://newspicks.com/news/4863660/