【スウェーデン発】「緩いコロナ対策」で得たもの・失ったもの

2020/5/2
「国民への信頼」を強調
ビルギット・リリア(82)は立ち止まり、杖に寄りかかって少しだけ休んだ。すぐそばでは、大勢の若者たちがストックホルムに今年初めて訪れた春の日和を楽しんでいる。
新しい身分証明書を受け取りに行くために街に出てきたというリリアは、「彼らに近づきすぎないようにしているの」と語った。
「でも、私に注意を払ってくれると信じているから大丈夫」
スウェーデンの新型コロナウイルス対策の根底にあるのは「信頼」だ。政府に対する信頼、国民に対する信頼、そして国民同士の信頼である。
4月下旬、ストックホルムの公園でピクニックを楽しむ人々(Andres Kudacki/The New York Times)
スウェーデン政府がパンデミック対策の通例に従わず、大規模なロックダウンをしないと決めたとき、公衆衛生当局はその一番の理由として、国民に対する信頼を挙げた。
いわく、スウェーデン人は強制しなくても、感染拡大を抑えるために外出を控え、社会的距離を保ち、手洗いをする──というわけだ。
結果、スウェーデンは概して大半の国々よりも流行の抑制に成功しているように見える。同国の10万人当たりの死者数は22人。この数字は、コロナ対策で称賛されているアイルランドと同じであり、イギリスやフランスよりはるかに低い。
とはいえ、暖かな春の日差しの中、ストックホルムの街では市民が外出規制やソーシャルディスタンスを守っているとは思えない光景が広がっており、スウェーデンの「成功」の謎はますます深まっている。
平常通り市民が行き交うストックホルム・ゼーデルマルム地区の街角(Andres Kudacki/The New York Times)
ジムも映画館も「通常営業」