[東京 30日 ロイター] - 商船三井<9104.T>は、2021年3月期の業績見通しについて、経常損益が100億円─400億円の赤字になると公表した。新型コロナウイルスの影響が半年続く場合は100億円の赤字、1年続く場合は400億円の赤字になるとした。

部門別ではドライバルク、コンテナ船などが低迷する中、洋上備蓄需要拡大から原油船のみが大幅黒字を確保する。

同社の丸山卓取締役専務執行委員は「決して黒字化を諦めたわけではない」とした上で「すぐに荷物がなくなるという状態ではないほか、今後の改善策を織り込んでいない、ケースごとに最悪の事態を想定した数値」と説明した。

セグメント別では、ドライバルク、自動車船、コンテナ船などほとんどが低迷する見込みである中、原油船などエネルギー船のみ、第1四半期が50億円の黒字、通期が150億円─120億円の黒字を想定している。原油の洋上備蓄の拡大で市況が高騰しているのがその理由だ。

現在、世界にVLCC(20万重量トン級タンカー)が約800隻ある中、原油約1.6億バレル分、約60隻活用されているという。会社側では「実需は低迷しているため、今後は市況が悪化しそうだ。洋上ストレージの受注については、船主のトレーダーに貸倒れリスクがあることから、見極めながら受注する」(丸山専務)としている。

同時に発表した2020年3月期の決算は、売上高が1兆1554億円(前年比6.4%減)、営業利益が237億円(同37.0減)となった。日本郵船、川崎汽船と3社共同で設立したコンテナ船事業の統合会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)のシナジー効果から経常利益は550億円(同42.8%増)と大幅増益を確保した。

(水野文也)