[北京 30日 ロイター] - 中国国家統計局が30日に発表した4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.8となり、3月の52.0から低下した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け世界経済の大半が休止状態に陥る中、輸出受注が大幅に減少。中国経済の本格回復にはまだ時間がかかりそうだ。

4月の製造業PMIは、景況拡大と悪化の分かれ目である50は上回った。ロイターがまとめたアナリスト予想は51だった。

4月の輸出受注指数は33.5と、3月の46.4から大幅に低下。統計局の担当者によると、一部の工場では再開後に受注がキャンセルされたという。

生産指数も低下。雇用指数は50.2と、3月の50.9から低下した。

同日に発表された財新/マークイットの4月の中国製造業PMIでも、輸出受注が世界金融危機以来の大幅な縮小を記録した。製造業PMI自体は49.4で、予想外の50割れとなった。

INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は「中国経済が成長を再開したと結論付けるのは、依然として時期尚早」と指摘。「西側諸国はまだ、ロックダウン(都市封鎖)の一部を緩和していない。国内外でソーシャルディスタンス(社会的距離)確保に向けた厳しい措置が導入される中、ロックダウンが緩和された後でも、需要がいつ、新型コロナの流行前の水準に戻るのか、不透明だ」と述べた。

野村のアナリストは調査リポートで「中国経済が早期に回復するという市場の楽観的な見方は後退しつつある」とし「当社は、輸出が第2・四半期は前年比30.0%減と、第1・四半期の同13.3%減から減少が加速すると予想する。実質GDP(国内総生産)は第2・四半期は前年比0.5%減少し、マイナス成長が続くだろう」と分析した。

一方、国家統計局が同日発表した4月の非製造業PMIは53.2と、前月の52.3から上昇した。

中国政府は新型コロナで大きな打撃を受けた国内経済の復興でサービス業が果たす役割に期待しているが、外需の落ち込みや国内の消費低迷が景気回復の足かせになるとアナリストは予想する。

製造業と非製造業を合わせた4月の総合PMIは53.4と、前月の53から上昇した。

アナリストは、雇用確保や賃金カットを巡る懸念が残る中、製造業と非製造業の見通しは引き続き厳しいとみている。

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