【核心】保健所のリアル

2020/4/30

保健所の業務を知っていますか?

国の新型コロナ対策の「柱」ともいえるクラスター対策。その最前線に立ってきたのが、全国各地にある保健所だ。
今、多くの保健所では、感染者数の増加とともに、業務量がキャパシティをはるかに超え、破綻寸前まで追い込まれている。
そもそも保健所が、新型コロナ対策に関して、どれほど膨大な業務をこなしているか、みなさんはご存じだろうか?
日本では、自身の感染を疑った人がまず問い合わせる先が、24時間対応の電話相談窓口「帰国者・接触者相談センター」だ。
興味深いアンケート調査がつい先日、公表された。全国保健所長会が、厚生労働省の研究班と共同で、全国の保健所468カ所を対象に実施したアンケートだ。
調査期間は3月25日〜4月22日の約1カ月で、回収率は54・9%に上る。
これによると、この「コロナ相談センター」の約7割は、都道府県の保健所が直接、運営している。時間外のみ外部に委託しているところも含めると、8割が保健所による運営なのだ。
しかも、完全直営のうち、約63%は、都道府県などの他部署の応援なしで、人員をまかなっているという。
コロナ相談センターでは、保健師が中心となって相談に対応している。ちなみにこの保健師は国家資格で、看護師資格を持つ人がさらに専門教育を受けた後に、試験を通る必要がある。
この保健師の他、医師や事務職員、さらに獣医師や薬剤師といった他の専門職も、新型コロナ関連業務では動員されているケースが多い。
そして、相談内容から感染の疑いが濃厚だと判断されれば、今度は帰国者・接触者外来への受診調整をする。
さらに外来で採取されたPCR検査のための「検体」(検査の対象となる、鼻腔や喉から拭いとった液)を、地方衛生研究所などの検査機関に運搬するのもまた、保健所の仕事だ。
運搬はバイク便など民間業者に委託することもあるが、その場合も、受け取りなどの段取りは、保健所がつけることになる。
ときには、患者の自宅に保健所職員が赴き、検体を採取することもある。