[シドニー 29日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した第1・四半期の消費者物価指数(CPI)は5年半ぶりの高い伸びとなり、2018年初め以来、初めて豪中銀の目標レンジ内に収まった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた人の移動や経済活動を制限する措置や、原油価格の急落で、インフレ圧力が再び弱まると予想されている。

第1・四半期のCPIは前期比0.3%上昇。前年比は1.8%上昇から2.2%上昇へと、市場予想(2.0%上昇)以上に加速し、2014年第3・四半期以来の高い伸びとなった。中銀の目標レンジ(2─3%)内に収まった。

基調インフレを示す中銀トリム平均値は前期比0.5%上昇、前年比1.8%上昇で、いずれも市場予想(前期比0.4%上昇、前年比1.6%上昇)を上回った。食品、教育、医薬品、たばこ税が主な押し上げ要因となった。

しかし、3月に入ってからは、新型コロナの感染防止に向けた封鎖措置で経済活動がマヒ状態となったほか、原油相場が急落しており、第2・四半期は記録的な物価下落が予想されている。

NABのエコノミストは、第2・四半期のCPIを前期比1.9%低下、前年比0.4%低下と予想。予想通りなら、前年比は1997年以来の低下となる。

新型コロナ対策として政府が時限措置として導入した保育費の無償化も下押し圧力とみられている。

豪中銀は、低インフレが長期化すると想定し、政策金利を過去最低に引き下げ、量的緩和に踏み切った。

ANZのエコノミストは「豪中銀の政策対応はすでに前年比の物価上昇率が年内は非常に弱いという見通しと合致している。予想される総需要の大幅減少と失業者の急増がインフレ押し下げ圧力となる」と指摘した。