[ブリュッセル 28日 ロイター] - 欧州連合(EU)と英国の貿易交渉は、意見の相違や新型コロナウイルスの危機により行き詰まっている。EUの外交官や当局者が話した。

新型ウイルスの危機が始まった際に一時中断した交渉は1週間前に再開したが、すぐさま壁にぶつかった。

貿易交渉は、20年末に終わる移行期間後の取り決めを定めることが目的。移行期間中は英国がEU加盟国だった頃と同じ規定に基づいて取り引きしている。交渉に参加した1人の外交官は「行き詰まっている」と話した。

先週の交渉後、EUのバルニエ首席交渉官は、限られた時間で合意に至るには英国とEUの溝を埋めるために英国が歩み寄らなければならないと指摘した。

ジョンソン英首相の報道官は27日、英国は交渉を続ける姿勢だが「英国を独立国として考慮していない分野についてEUの提案に合意する可能性が高まることはない」と反論した。

交渉は6月上旬に続く予定だ。

英EUは年末までの交渉期限を延長するか否かを6月末までに決める。EU当局者は、延長で合意できる時間はまだあると述べる。一方、ジョンソン氏は交渉延長を拒否している。

関係筋によると、企業活動の「公平な競争条件」について、協議に進展はない。個人情報の保護や人権の分野も同じ状況だ。

英国とEUが妥結しても、新型ウイルスによって対面で協議ができないことや、政府にかかっている負担が増していることなどの制約を踏まえると、EU加盟国や欧州議会が協定を承認するには当初予想よりも時間がかかる。

別のEU外交官は「協議に進展はない。今のところ、どのように打開策を見出したら良いのかが分からない」と述べた。