[香港/ロンドン 28日 ロイター] - 英金融大手HSBCホールディングス<HSBA.L>が28日に発表した第1・四半期(1─3月期)決算は、利益がほぼ半減し、予想にも届かなかった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で借り手が世界的に打撃を受ける中、不良債権引当金を積み増した。

税引き前利益は32億1000万ドルで、前年同期の62億1000万ドルから減少した。同行がまとめたアナリスト予想の平均36億7000万ドルも下回った。

不良債権引当金は24億ドル増の30億ドル。COVID─19(新型コロナ感染症)の影響や原油価格の下落、さらに「シンガポールでの企業へのエクスポージャー」を背景に、引当金を積み増したと説明した。

HSBCはこのシンガポール企業の名前を明らかにしていないが、シンガポールの燃料取引大手ヒン・レオン・トレーディング(HLT)の主要債権者の一角を占める。関係筋によると、HLTは裁判所が任命した法定管財人の管理下に置かれた。HLTはコメントを控えている。[nL3N2CG0Q3]

HSBCは、新型コロナの世界経済への影響により不良債権が増加すると警告。顧客の活動が鈍化し、政策金利引き下げでマージンが低下する中、収入への圧力が続くとの認識を示した。

その上で、収入減の影響を緩和するため営業費用を圧縮する計画だとし、2020年の利益は前年を「著しく下回る」とした。

同行は詐欺行為が増えており、「大幅な」貸倒損失につながる「可能性がある」とも指摘した。

今年の不良債権引当金は70億ー110億ドルになる可能性があるとしている。

香港上場のHSBC株は0.5%下落。一時は2%近く値上がりしていた。

HSBCのイーウェン・スティーブンソン最高財務責任者(CFO)はロイターに、年内の貸倒損失の比率について、第1・四半期と比べれば低下するとの見通しを示した。

*内容を追加しました。