[東京 27日 ロイター] - ルネサスエレクトロニクス<6723.T>が27日発表した2020年1―3月期の連結当期(国際会計基準)損益は112億円の黒字となった。自動車向け事業と産業・インフラ・IoT向け事業で売上収益が増加した。前年同期は19億円の赤字だった。

19年に米インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を買収し、同社の売上収益が連結売上収益に計上された。このほか、前年同期に実施していた流通在庫水準の調整が完了したことで、その影響がなかった。IDTの吸収合併に伴い、事業プロセスやITシステムの統合に着手したことから、費用形状の区分を見直した。

売上収益は前年同期比19.0%増の1787億円だった。前年同期にもIDTを含めたと仮定すると前年同期比は約1%の増収だった。

1─6月期の業績予想は取り下げ、未定とした。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の事業への影響が不透明で、現時点で業績予想の合理的な算定は困難だとした。

ただ、柴田英利社長兼CEO(最高経営責任者)は電話会見で 「何もなしというのもさすがに予見可能性が低すぎる」とし、同社は4―6月期の売上収益は1―3月期比で約6%の減少を見込むとした。為替前提は1ドル105円、1ユーロ115円。

この売上収益の見込みには、マレーシアの後工程の工場で想定通りに稼働できない事態や、顧客からのキャンセルなどのダウンサイドリスクがあるという。

新開崇平CFO(最高財務責任者)は同会見で、今後の需要減に備えた対応を進めると説明。間接部門の従業員の一時帰休や工場の機動的な一時生産停止、販管費の削減、役員報酬の一部カット、追加の手元流動性確保など「コロナの終息後に速やかに攻勢に転じられるようメリハリ付けた施策を実行する」(新開CFO)と述べた。

*内容を追加しました。

(平田紀之)