[ワシントン/ウォーレン(米ミシガン州) 23日 ロイター] - 全米自動車労組(UAW)のギャンブル委員長は23日、自動車工場とミシガン州経済を5月上旬に再開するのは「あまりに早くあまりに危険」だと表明した。職場が安全だと確信するのに科学的データとウイルス検査が不十分だとしている。

米デトロイト、ドイツ、アジアの各自動車メーカーは、5月上旬までに米国生産を再開する準備を進めている。

ギャンブル委員長の声明文は、同月4日にUAW組合員を生産現場に復帰させ始めようとしていた「デトロイトスリー」の計画に影響を与えそうだ。また、保守団体やトランプ米大統領から外出制限の緩和圧力を受けているミシガン州のウィットマー知事にも向けられている。

同委員長は「UAWは現時点で、組合員を職場に復帰させても安全だという決定的な科学データがあるとは考えていない。組合員が直面する脅威を真に理解するのに十分な検査も行われていない」と指摘。「われわれは全てのセクターの企業に対し、5月上旬の日取りはわれわれの組合員、彼らの家族、彼らのコミュニティーにとって、あまりに早くあまりに危険を伴うということを強く訴える」とした。

UAW委員長の声明文に先立ち、ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために定めた新たな安全手順の訓練を受けさせるため、来週に職場に戻るよう前線の管理職に通知し始めた。

これとは別にトヨタ自動車<7203.T>は23日、5月4日から北米での生産を段階的に再開すると発表した。

事情に詳しい関係筋によると、フォード・モーター<F.N>は生産再開準備のため、来週の復帰を一部労働者に求めることを検討している。ただ、フォードは生産再開の日取りは決定していないとしている。

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)<FCHA.MI>はこれまで、5月4日の北米生産再開を望んでいると表明していた。しかし、同社は23日、「全ての従業員を守るため、安全で衛生的な職場でのみ操業を再開する」との声明文を発表した。

ホンダ<7267.T>は23日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)による北米の自動車工場の休止期間を5月8日まで1週間延長すると発表した。