(ブルームバーグ): 半導体メーカー最大手の米インテルは23日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による「重大な経済的不確実性」を理由に通期売上高見通しを撤回した。同社の株価は時間外取引で一時5%余り下落した。

同日発表した1-3月(第1四半期)決算では、売上高は23%増加し、利益はアナリスト予想を上回った。企業による従業員の在宅勤務支援を背景にノート型パソコン(PC)やサーバー向けのチップ需要が業績を支えた。インテルは4-6月(第2四半期)売上高に楽観的な目標を示したが、利益見通しは予想に届かず、支出鈍化が年内のビジネスに影響するとの懸念が強まった。

23日の発表資料によると、4-6月期売上高は約185億ドル(約1兆9900億円)、純利益は1株当たり約1.04ドルの見通し。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均では、売上高は180億8000万ドル、1株利益は1.11ドルと見込まれていた。

企業は新型コロナ対策の屋内退避令に対応し、従業員の遠隔勤務用にノート型PCを追加購入。データセンター事業者はビデオ会議やソーシャルメディア、映画ストリーミングなどの利用急増を受けて、サーバー用の高額なインテル製プロセッサーの仕入れを急いでいる。こうした動きが1-3月期のPC関連チップ販売の14%増加とデータセンター部門の43%増収を後押しした。

ただ1-3月期の売上高急増は、需要が今年の早い時期にピークに達した可能性があるとの懸念も招いている。インテルや同社顧客は2008年の金融危機以来最悪のリセッション(景気後退)に身構えている。インテルは決算発表資料で、20年後半には政府や法人客からの需要が減少するとの見通しを示した。

ボブ・スワン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会見で「年後半の需要見通しは一段と不確実だ」と述べた。PC用チップ事業にとって景気減速の打撃は在宅勤務の普及に伴う需要よりも大きいと同社は説明。データセンター部門は大手クラウド事業者によるチップ購入の持続から恩恵を受けると予想した。

ジョージ・デービス最高財務責任者(CFO)はアナリストに対し、「ある時点で、リセッションがPC需要に影響し始めるだろう」と述べ、あらゆるものがネットにつながるインターネット・オブ・シングス(IoT)事業や自動車業界の顧客への影響が既に見えていると付け加えた。

同社は3月下旬に自社株買いプログラムを一時停止しているが、この日は再開を発表しなかった。粗利益率は新しいチップの増産を受けて4-6月期に悪化するが、これらの製品の年後半の発売で好転するとデービスCFOは決算発表後のインタビューで述べた。

1-3月期の売上高は198億ドルに増加。純利益は57億ドル(1株利益は1.31ドル)で、粗利益率は60.6%だった。アナリスト予想平均は売上高が188億3000万ドル、1株利益が1.23ドルだった。

インテル株の23日通常取引終値は59.04ドル。決算発表後の時間外取引では一時55.26ドルに値下がりした。

原題:Intel Withdraws 2020 Forecast on ‘Significant’ Uncertainty (2)(抜粋)

(CEOとCFOの見解などを追加し、株価を更新します)

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