[ワシントン 23日 ロイター] - 米労働省が23日発表した18日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は442万7000件と、前週から81万件減少したものの高水準を維持し、過去5週間の申請件数は約2650万件となった。市場予想は420万件、予想上限は550万件だった。

前週の申請件数は523万7000件と前回発表から8000件下方改定された。

MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「現時点で、今回のリセッション(景気後退)が1930年代の世界恐慌の二の舞にならないためには奇跡が必要だろう。経済自体が大きく深い窮地に陥り、そこから抜け出すことが非常に難しくなることが見通しに対するリスクだ」と語った。

オンライン就業支援企業グラスドアのシニアエコノミスト、ダニエル・ザオ氏は「今回発表された申請件数は、労働市場がほぼ確実に新たな領域に入っていることを示唆している。米国の景気回復期に得られた以上の雇用が失われ、失業率はピークだった(金融危機後の)グレート・リセッション時の10%を超えるだろう」と述べた。

3月21日終了週以降の累計の申請件数は2645万3000件となり、労働力人口の16.2%に達した。米国では2010年9月から始まった採用ブームで約2200万人の雇用が創出されてきたが、ブームは今年2月で突如終焉を迎え、新型コロナウイルス流行の経済的打撃により創出分が一掃された。

労働省は「COVID─19(新型コロナ感染症)が引き続き新規失業保険申請件数に影響を与えている」との見方を示した。

米雇用統計の調査対象期間は毎月12日を含む週となっており、5月8日発表予定の4月統計は、今回発表された申請件数の期間と重なる。3月は70万1000人減と11年間で最大の落ち込みだった。

申請件数は依然として高水準だが、3週連続で減少しており、最悪期は過ぎ去ったとの期待が浮上。申請件数の直近ピークは3月28日終了週の686万7000件だった。

米国株は申請件数の減少を背景に上昇。ドルは序盤の小幅高から下げに転じた。米債はおおむね売られた。

シティグループのエコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト氏は「一時解雇は多くの業界で数週間続く可能性が高いが、広範囲にわたる当初の事業閉鎖後の一時解雇はピークに達したと慎重ながらも楽観的に見ている」と述べた。

州別では、フロリダ州が、テネシー州、サウスカロライナ州、ジョージア州と共に今週から経済活動を一部再開しているものの、申請件数が前週急増。一方、ニューヨーク州やミシガン州、ジョージア州は減少した。

実際の失業状況を見極める上でより正確な数字と見なされている失業保険受給総数は、11日終了週で1597万6000件と前の週から406万4000件増加し、過去最高となった。

週ごとの変動をならし情勢をより正確に反映するとされる新規失業保険申請件数の4週間移動平均も578万6500件と、前週の550万6500件(下方改定後)から増加した。

INGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「新規失業保険申請件数は今後急速に減少すると予想しているが、新型コロナを巡る懸念がくすぶり、消費行動が抑制されたりレストランでの食事が控えられた場合、雇用の急回復は見込めず、V字型の経済回復が非常に難しいことが新たに示されるだろう」と述べた。

*内容を追加しました。