[パリ 23日 ロイター] - フランスの自動車大手ルノー<RENA.PA>は23日、新型コロナの影響を乗り切るための流動性対策として、数十億ユーロの政府保証融資の確保に向けてフランス政府と交渉していることを明らかにした。

クロチルド・デルボ暫定最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で、ルノーには混乱を乗り切るのに十分な流動性があるが、フランスや新興国などでクレジットラインや支援の確保に動いていると説明。

「真っ暗なシナリオにも対応できるように、安全を期すことがわれわれの責務だ」と述べ、新型コロナ危機がどのぐらい続くかは明確ではないと付け加えた。

同CFOによると、同融資は5月中旬までに実施される見通し。配当を抑制すること以外の条件は付いていないという。ルノーはすでに、2019年分の配当の支払いを見送る方針を明らかにしている。

ルノーが同日発表した第1・四半期の売上高は101億3000万ユーロ(109億7000万ドル)となり、前年同期比19.2%減少した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの販売店や製造拠点を一時閉鎖したことが響いた。

同社は配当や業績予想はすでに撤回している。新型ウイルス危機が通年の業績に与える影響を評価するのは時期尚早だとした。

欧州での需要が大きく落ち込んだことから、第1・四半期にはロシアでの売り上げが初めてフランスを上回った。

「ルノーキャプチャー」など、より価格の高いSUVの導入が売り上げに貢献したが、販売台数の急減を相殺するまでには至らなかった。

ルノーが3月末現在で保有する内部留保は103億ユーロ。2019年末から55億ユーロ減少した。自動車メーカーは通常、第1・四半期には在庫拡充のため現金を支出する傾向がある。

ルノーの株価は23日の欧州序盤の取引で一時3.5%上昇した。

*内容を追加しました。