[ニューヨーク 22日 ロイター] - バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のアナリストによると、新型コロナウイルスに端を発する相場急落を受けて銀行の融資枠から資金を引き出した米企業の間で、起債して返済原資を調達する動きが広がっている。米企業部門の資金逼迫が和らぎつつある可能性を示しているという。

バンカメの推計によると、米企業170社以上がここ数週間で、銀行に対し融資枠から1200億ドル超の資金の引き出しを要請した。

一方、規制当局への提出資料によると、ここ数日に米衣料品製造大手VFコープ<VFC.N>、米スーパーマーケット大手クローガー<KR.N>、米半導体大手マイクロン・テクノロジー<MU.O>が融資枠の返済に向けて社債を発行して資金を調達した。水道事業のアメリカン・ウォーター・ワークス<AWK.N>も同様の目的で資金を調達した。

バンカメの米投資適格級債券戦略の責任者、ハンス・ミッケルセン氏は一部の企業が起債による融資返済に動く背景には「新型コロナを巡る好ましい動きだけでなく、政策面での対応がある」と指摘した。

米連邦準備理事会(FRB)は新型コロナ感染拡大を抑止するための行動制限による景気への悪影響を和らげるため、量的緩和の再開のほか、財務省と連携して企業に直接融資するなど前例のない資金供給策に乗り出している。これを受け、社債などのクレジット市場は一部を除いてブームの様相を見せている。