【亀山×OWNDAYS田中】辛いときの原動力は「嫌いな人の顔」

2020/5/3
DMM.com会長の亀山敬司氏が各方面からゲストを迎え、脱力系ながらビジネスの本質をつく対談企画「亀っちの部屋」Season2。
今回のゲストはメガネチェーンOWNDAYS(オンデーズ)代表の田中修治氏だ。
田中氏は2008年、14億円の負債を抱え、倒産寸前だったOWNDAYSを買収。新たな融資を受けられない中、7年で借金を自力返済した。その壮絶な物語を綴った小説『破天荒フェニックス』は、大きな反響を呼んだ。
4月にはNewsPicks Bookから『大きな嘘の木の下で』を刊行。その濃密な経験から導き出された「お金」「仕事」「幸福」に関する持論を展開している。
商店街で育ち、就職ではなく自分で商売をすることが当然の流れだったという田中氏は、バックグラウンドが亀山氏と似ている。
泥臭さのある「商売人トーク」が展開される中、田中氏は突然、会社の売却を亀山氏に持ちかける──。(収録は東京都の緊急事態宣言前に実施されました)
*本対談の音声はこちらからお聞きください

遊びも酒もたばこもやめた

亀山 「亀っちの部屋」、始まりまーす。今日のゲストは、OWNDAYSの田中修治さんです~。
田中 いやあ、呼んでもらえて嬉しいです。
──お二人が話すのは、意外にも今回が初めてだそうですね。
田中 はい。「亀山さんは六本木のバーにいるよ」と聞くんですが、僕は夜、飲みに出ないので。
亀山 いかにもチャラそうな雰囲気だけど、あまり飲まないんだ。
田中 遊ぶのも飽きたし、酒もたばこもやめました。実は最近、子どもが生まれたばかりなんです。40歳を過ぎてからの子は、本当にかわいいですね。
亀山 真面目なパパになったんだ。
田中 「OWNDAYS田中、夜も破天荒だった」とか書かれたくないので(笑)、おとなしくしています。
─今キーワードが出ましたが、田中さんといえば、ビジネス小説『破天荒フェニックス』(NewsPicks Book)が有名です。
田中さんは倒産寸前だったメガネチェーンのOWNDAYSを30歳のときに買収して社長に就任した後、数々の危機を乗り越えながら、買収時にあった14億円の借金を7年で完済して会社をV字回復させました。
その経緯をつづった小説が話題となり、最近ではドラマ化や漫画化もされています。
亀山 小説と言ってるけど、本に書いてあることは事実なの?
田中 はい、7年で14億円を完済したストーリーは事実です。
ただ、ストーリーを印象づけるために天気を雪にしたり、実際には10人いたプロジェクトメンバーを2人にしたりと「演出」した部分があるので、ノンフィクションではなく小説と言っています。
それに現実は、小説よりもっとドロドロしていますよ。
亀山 いいね。俺はそんなドロドロ系の話を聞きたいよ(笑)。

ウェブ制作の「せどり」を実施

──改めて、どういう経緯でOWNDAYSを買収し、どう復活させたのかをお聞かせください。
田中 僕は20歳の頃から、会社経営をしてきました。初めは漫画喫茶、次に携帯電話販売店、そして居酒屋……という具合です。もともと親が商売をしている商店街で育ったので、就職する発想がありませんでした。
田中 修治(たなか・しゅうじ)/OWNDAYS株式会社 代表取締役
1977年、埼玉県生まれ。2008年、破綻寸前だったOWNDAYSの株式52%を個人で取得して買収、代表取締役社長に就任し、債務超過に陥った同社を再建させる。2018年9月、事実を元にした小説『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』を刊行。2020年4月には『大きな嘘の木の下で』を出版。

亀山 そこは俺と似ているね。起業というより商売だもんね。
田中 だから「なぜ起業しようと思ったんですか」と聞かれても、答えられないんですよ。「金を稼ぐのに何かしなきゃ」という感じで、起業した感覚がないんです。
「何か金になることない?」と周りに聞き、「引っ越し手伝ってよ」「車を借りたい人を見つけてよ」などと言われてやっているうちに、気づいたら会社になっていた、みたいな。