【日本発】コロナで「死なせない」ための薬がある

2020/4/23

コロナと戦う第3の道

一つのアプローチに光明が見えてきたーー。
新型コロナウイルス感染症に対する薬やウイルスは連日、その効果や試験について、いろんな報道が出てきて何が起きているのかが見えにくい。
実は、この感染症と戦うアプローチは、大きく分けて3つある。
まず、最初にコロナ収束のカギを握るのが「ワクチン」だ。
これは特集でも示してきたように、ウイルスに罹りにくくするアプローチだ。今は目下、ビル・ゲイツが力を入れるmRNAワクチンなど、最先端のテクノロジーで臨床試験が進むが、それでも12〜18カ月かかるとみられている。
次に、ウイルスと戦う「抗ウイルス剤」という方法がある。
こちらはウイルスが増殖するのを阻止する方法で、安倍晋三首相が力を入れる「アビガン」などの薬がある。いくつかの成果が報告されている一方で、期待されていた既存薬のいくつかは、効果がないことも分かってきた。アビガンも催奇性などの副作用があることから、必ずしも医療関係者全員に支持されているわけではない。
そして、最後に、「死なない」ためのアプローチがある。
COVID-19では、肺炎が重症化し、急性呼吸器不全に陥ることで死亡するケースが多数報告されている。この「第3のアプローチ」は、ウイルス自体と戦うわけではなく、死亡に直結する炎症をやっつけることで、患者を救うことになる。
実は今、この第3のアプローチに光明が見えてきた。
中国やカナダなどで、重症患者に「アクテムラ(トシリズマブ)」と呼ばれる薬を投与したところ、症状が改善した可能性がある報告や査読前の論文が出ているのだ。アメリカやイギリスでも患者への投与を試みる動きが広がりだした。
しかも、実はこの薬は、日本から生まれた薬だ。