【真相】「国産ワクチン」が必要な本当の理由

2020/4/21
もはやワクチン戦争だーー。
新型コロナウイルス終息への最大のカギとなるワクチン。WHOによると、実に世界の76もの企業や研究機関がワクチン開発に名乗りを上げている。
そのなかで、人に実際に投与する臨床試験に突入したのは米中の5社だけ。
こうみると、いつものように経済大国だけが勝ち残る構図にも見えてしまうが、実は、日本からもこのレースに素早く入り込んだ企業がいる。
大阪大学とともに開発を進めるバイオ製薬企業のアンジェスだ。
アンジェスの記者会見(写真:ロイター/アフロ)
先端テクノロジーの一つである「DNAワクチン」の技術を持つ同社は、この世界のワクチンレースを詳細に分析する中で「勝算アリ」とみて、巨額の資金を要する新規のワクチン開発という経営判断を決めた。
その「勝算」とは何なのか、我々はいつワクチンを手にできるのか。そして、実は「国産ワクチン」が必要な深い理由とはーー。
アンジェスのキーマン2人を直撃した。

「世界初」の治療薬

「(新型コロナのワクチン開発で)一番乗りになることさえあると思っています」。
こう話すのはアンジェスの創業者であり、臨床遺伝子治療学を専門とする森下竜一・大阪大学教授だ。
アンジェスの山田英社長も「勝算はある。計ったうえで、こういうこと(ワクチン開発)をしています」と断言する。
アンジェスなどがワクチン開発に着手すると発表したのは3月5日のこと。国内では一番乗りだったが、「1月当初は新型コロナがこれほどの状況をもたらすとは予想できず、高をくくっていた」(山田社長)こともあり、世界の大手企業からは後れを取った。
それでも2人が優位性を主張するのには相応の理由がある。
すでにアンジェスが「世界初」の治療薬を実用化した実績があることだ。