【WEEKLY OCHIAI】ビフォアコロナに描いた未来はきっともう来ない

2020/4/21
「WEEKLY OCHIAI」では、新型コロナウイルスについての最新情報の解説とコロナショックがもたらす新しい未来の可能性をめぐって、落合陽一と各界のプロフェッショナルによる“ハードトーク”をお届けしています。

次回4月22日(水)石破茂氏をゲストに迎え「危機のリーダーシップ」について考えます。
次回4月22日(水)22時からのライブ配信は無料(配信後のオンデマンド視聴はプレミアム会員限定です。)
「Withコロナ」=ウイルスとの共存
未曾有の感染規模で今も拡大を続ける新型コロナウイルスに対して、「打ち勝つ」「勝利」という言葉を用いての報道のされ方も少なくない。
しかし、仮に勝利した末にこれまで描かれてきた未来予想図はまだ存在するのだろうか。
 「WEEKLY OCHIAI」ではウイルスの感染拡大を阻止することを第一義としながらも収束には時間を要すること、そして確実に起こりつつある人々の行動変容を前提に「ウイルスとの共存」という視点から生じる社会変革に目を向けている。
慶應SFC教授でヤフーのチーフストラテジーオフィサーでもある安宅和人氏の言葉を借りて「Withコロナ」という概念で日本の新たな可能性を考えた。(画像タップで4月8日の配信に遷移します。)
落合 デジタルだけで価値を作るのはとても難しい。人間は移動しないけどモノは移動している。そしてデジタルはもっと高速に移動しているという3段階の状態がWithコロナとしてしばらく続いていく。
デジタルだけの体験に我慢できない人に対して、どうやって“フィジカルな付加価値”を直接その場へ行かずに与えるかを考える必要がある。今までとビジネスモデルがまるで変わってしまう可能性がある。
4月15日「Withコロナ時代の地方のポテンシャル」の視聴はこちらから。
コロナはまさに資本主義への挑戦
急速に起こる行動変容は私たちの未来をどのように変えていくのか。慶應大学医学部教授の宮田裕章氏は現在を「文明の転換期」と見立てた。
宮田 これまでは都市に人を集め、高密度にすることで効率性を追求してきたが、今回のウイルスの登場により人が密集する空間が感染媒体になってしまった。
まさに資本主義の考え方で作られたものの弱点を突かれてしまった形だ。
世界経済フォーラムのホワイトペーパーでは「新型コロナウイルスは資本主義への挑戦である」との見方が示された。新しい社会モデルを考える必要に迫られている。
Withコロナ時代のキーワード「開疎」
人や産業が分散した社会モデルへの再構築に向けて、安宅氏は「開疎」というビジョンを打ち立てている。
閉鎖した空間からの開放と、密な状態からまばらな状態/疎に向かっていくことの意味を表している言葉だ。
安宅 cityこそが人間の最大の発明とされてきた中で、開疎化せざる負えないベクトルが今、強く働いている。
例えば今作っているリニアとかは、もはや別の何かに変えることも考えた方がいいかもしれないし、島型中心のオフィスデザインも根本から見直さなくてはいけないかもしれない。
接触から非接触へ、人は動かなくても物が動く時代へと転換を進めていくために新しい社会インフラをどのように構築するのか、真剣に考える時がすぐそこにきている。
経営共創基盤CEOの冨山和彦氏は、都市化では格差が進む一方で職住接近の生活スタイルや生活コストの低さなどから地方の持つポテンシャルが今後より一層注目されるする指摘がなされるなど、番組ではWithコロナ時代の日本のあり方を議論した。※画像タップで視聴ページに移動します。
自治体トップが発揮するリーダーシップ
東京・都市に人が集中するリスクが顕在化されたことを受けて、今後その周辺地域や地方の各首長がとるべき対応についても番組では議論を行った。
樋渡 行政は良い意味でも悪い意味でも横並びでの運営傾向が強いため、どこかで行政対応のモデルが発表されるとTTP(徹底的にパクる)されてテンプレート化していく。そうして一気に各自治体へと広がっていくようになる。
熊谷市長(千葉)や高島市長(福岡)のようなリーダーが独自の対応策を積極的に発信していくことでそれがスタンダードになっていく。
と、前武雄市長(佐賀)の樋渡啓祐氏は、有事におけるトップリーダーの役割について説明した。
また、企業・個人の経済活動が完全あるいは部分的な停止状態に陥っていることに関して、マザーハウス代表取締役副社長の山崎大祐氏は「政府やリーダーによって具体的なビジョンが示されれば、そこに向かって新たな投資が集まるようになる」と早い段階でトップによる指針表明の重要性を指摘する。
山崎氏が出演した4月1日「経済活動が止められるか」の視聴はこちらから。
山崎 政治家や経営者は現在行っている対策と同時に、その先の未来をどう作るのかも示していかなくてはならない。オンライン教育やリモートワークなど新しい取り組みが行われているが、それらは単にこのウイルス問題に対する解決策としてなのか、問題が解決した後も活用していくものなのか、今は不透明な状態のままだ。
もし、今行われてる取り組みを将来に対する社会実験として位置付けていけば、現場の動き方や法整備に向けた議論などで、より良い準備の仕方が見つかるかもしれない。
今必要なのは、新しい未来に対してどんなビジョンを示していくか、未来創造型のリーダーシップである。
次回ゲストは自民党・石破茂氏
4月22日(水)22時よりLIVE配信(配信後のアーカイブ視聴はプレミアム会員限定となります。)
4月22日(水)にライブ配信する今週の「WEEKLY OCHIAI」では、次期総理大臣候補として高い支持を集める自民党元幹事長の石破茂衆議院議員をゲストに迎えます。
変化と危機の時代に、リーダーはどんなビジョンを掲げ行動するべきなのか。各国リーダーとの比較も交えながら、日本がとるべきリーダーシップについて議論します。
<執筆:具嶋友紀、編集:安岡大輔、デザイン:斉藤我空>