【論文PICKS】アベノマスクは役に立つのか

2020/4/19
ついに日本人全員に、マスクが2枚ずつ配られることになりました。
通称アベノマスクと呼ばれるこの布マスクは、自分の口から唾液や飛沫が飛ぶのを抑えてくれて、お互いに感染させるリスクを減らすのが主な目的です。
ところが、こうしたマスクに新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染伝播を抑える効果があるのか、科学の世界では全くと言っていいほど証明されていません。
マスクを着けた安心感から、みんなで集まってコーヒーを飲み、旅行をするといった「3密行動」を再開したら、むしろ大惨事を招くかもしれません。
ちなみに米国CDC(疾病予防管理センター)やWHO(世界保健機関)は、症状のない人への「マスクNO」の指針を一転させて、布マスクは着けるべしとしています(ただし、医療従事者への供給を守るため、サージカルマスクは現在もNOとしています)。
マスクは有効なのか、有効ではないのか。世界が注目する問題について、学術論文とサイエンスを根拠に、そのポイントを学んでいきます。
ナビゲーターは米国内科専門医として活躍している山田悠史医師です。
「ブレイクスルー」の始まり
まず大前提ですが、空気感染を防ぐための「N95マスク」は、外気をきちんと遮断するように、密着するように作られています。
一方で、お医者さんが着けているサージカルマスク(外科用マスク)や、ドラッグストアなどで売られている市販のマスクは、そもそもそうした構造になっていません。
こうしたマスクを着けるのは、自分の唾液や飛沫などが飛ぶのを抑えることによって、他人に感染させるリスクを減らすためです。
例えば、患者さんの皮膚にメスを入れるような清潔な処置をする時に、私は「メスを取ってください」などと言います。この時、私の口から唾が飛んで、患者さんの創部に付着して感染させることがないようにする。
これがマスクの役割です。
(写真:FangXiaNuo/iStock)
では、新型コロナの感染者が、マスクを着けることで他人への感染を予防できるのか。これまでマスクの効果をめぐる研究は、ほとんどありませんでした。
ところが最近、面白い動きが出てきました。