4月の東証上場中止が過去最多の14件、ITバブル崩壊後上回る
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IPOのディールはグロース銘柄が多く、エクイティファイナンスの資金使途とエクイティストーリーの整合性が重要です。
一方で、コロナショックの現状では成長率より企業が生存できるかどうかに投資家の関心事項が強くなっており、このような局面では厳しい状況かと思います。
IPO中止の背景には、当初予定していたバリュエーションが獲得できない事や投資家の需要が積み上がらない事かと推察します。ここ数年の日本のIPOではディールサイズによりますが、国内海外の機関投資家のみならず、個人投資家のブックビルディング需要消化とセカンダリーでの需要も大きな要素でした。機関投資家のバリュエーション目線の切り上げ→セカンダリーの好調→個人投資家の需要喚起というサイクルが停止している状況かと考えます。
IPOのディールが復活する状況でも、これまでのようなIPOディスカウントよりディープなディスカウントがしばらくは要求されるのでは無いでしょうか。IPOは成長のための更なる通過点であり、運転資金を獲得したり、一部株主の利益を確定させるものではない。
またこの状態だとM&AでのExitも当然同じ状況で、引き受け手が見つからないとなるでしょう。
すなわち自立してこの時期を乗り越える以外方法はなく、外部資金が入らない前提で、まずは黒字化することだけが生き残る唯一の方策と言えます。
もちろんそれでも資金を集めて、まだ掘ることの出来るスタートアップはありますが、実はそんなところはかなり限られています。
また時価総額が上がり過ぎてしまった上に、まだユニットエコノミクスを成立させられていないスタートアップは、大変厳しい状況を迎えるでしょう。
やることは一つだけで、きちんと既存投資家さんと向き合って話し合いを行い、再成長のシナリオを提示した上で、ダウンラウンドを飲んでもらい、場合によってはそこでExitしてもらうなどのハードな交渉を真摯に行うことです。
スタートアップの経営者の皆さんにとって、とても辛い状況だと思いますが、自社の事業の見直しの良い機会でもあるので、ここで足腰を強くして100年、200年続く事業を改めて作っていきましょう。
僕はそんな経営者の皆さんをバックアップしていきたいと思っています。2019年のマザーズ上場社数は64社でしたが、リーマンショック直後の2009年のマザーズ上場社数はわずか4社。2020年も相応に厳しくなるのでしょう。
業績も厳しくなる上に、ベンチマークとなる企業のマルチプルも大きく切り下がり、従来の目論見から比べるとダブルで向かい風となります。
また投資家の財布の紐は固くなりますし、同時に既存の上場企業の株価が軒並み下がれば、どうしてもそちらに意識が向きがちになります。
IPO時の資金調達を見越して資金繰りや事業計画を組んでいる会社であれば、長期戦を見越して改めて資金の確保が急務になります。
また同時に、株主と時間軸を揃えるため、セカンダリー取引を行うケースも増えてくるのだと思います。
ちょうど先日、不況期におけるIPOについてお話ししました。ご参考までに。
【シニフィ談】IPOの適切なタイミングと、不況下の上場環境
https://voicy.jp/channel/621/76004