[シドニー 15日 ロイター] - メルボルン研究所とウエストパック銀行<WBC.AX>が公表した4月のオーストラリア消費者信頼感指数は前月比17.7%低下し、47年前の算出開始以来最大の低下率を記録した。

4月の指数は75.6で、オーストラリアが前回リセッション(景気後退)に陥っていた1991年以来の低水準となった。

新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるためのソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)などの制限措置の影響で、オーストラリア経済は30年ぶりにリセッションに陥る恐れがある。

同国ではこれまでに6500人前後が新型コロナに感染し、62人が死亡している。

調査の詳細を見ると、新型コロナの影響が特に雇用と支出を直撃していることが浮き彫りになっている。

4月は5つのサブ指数がすべて低下した。とりわけ落ち込みが目立ったのは短期的な経済見通しを示すサブ指数と、支出に対する態度を示すサブ指数だった。

オーストラリアおよびニュージーランドの上場企業がすでに一時帰休か解雇を決めた、あるいは検討している人員は少なくとも12万1520人にのぼっている。

ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)<NAB.AX>が14日に発表した3月の豪企業景況感指数はマイナス21と、前月のゼロから急低下し、過去最大の落ち込みとなった。[nL3N2C20SR]

コモンウェルス銀行<CBA.AX>が発表した調査結果によると、4月10日までの1週間のクレジットカードおよびデビットカードの支払いは前年同期比で20%減った。サービスへの支出は44%落ち込んだ。

オーストラリア統計局によると、2月に同国を訪れた中国人観光客は前年同月比で90%と大幅に減少。香港、シンガポール、ドイツからの観光客も激減した。

一連の厳しい数字にもかかわらず、ウエストパックのチーフエコノミスト、ビル・エバンズ氏は、3四半期にわたってマイナス成長が続いた後、豪経済は第4・四半期までに成長を取り戻すとの見通しを示した。

「感染状況が最も深刻な国々と比べれば、オーストラリアの新型コロナ感染は、経済への影響はそれほどひどくない」と述べ、「感染者数は確かに多いが、オーストラリアの医療システムは崩壊しておらず、最近は新たに確認される感染者が明らかに減っており、感染拡大防止策が奏功していることを示している」と語った。