[東京 13日 ロイター] - 小泉進次郎環境相は13日、ロイターのインタビューに応じ、世界的に感染拡大が続く新型コロナウイルスからの経済復興に際し、環境を度外視すれば、気候変動に関する国際的枠組み「パリ協定」の事実上の死を意味すると指摘。環境が置き去りにならないように行動していきたいと述べた。

小泉環境相は「経済回復が大事だから環境は度外視してとにかく経済復興だとなれば、事実上パリ協定の死を意味する」と懸念を示した。

新型コロナによって生活が制限されている中で「少しぐらいの手間は楽しんでいこうというライフスタイルを経済回復の時に根付かせることができるか。分岐点だと思う」と述べ、経済回復が優先され、環境が置き去りになることで「将来、その負の影響が社会に出ることがないようにリードしていくのが環境省の役目」とした。

政府が国連に提出した温室効果ガス排出削減目標では、2030年度に13年度比26%削減するという目標は据え置き「確実に達成」するとともに「さらなる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を目指す」とした。小泉環境相は「環境省がこれだけ頑張らなければ、26%で変えずというままで終わっていた可能性がある」と指摘。他省庁との調整もあるが、小泉環境相としては、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)までに新たな削減目標(NDC)を出したいという意欲があることについて「間違いない」と述べた。

さらには「意欲的で野心的、という2つの言葉が入ったのは、霞が関文学の世界では、かなり意味のあること。この文言で各省が合意したということは、意欲的な野心的な数値を目指した調整をするということを意味する」と指摘。COP26までに「意欲的で野心的」という言葉を数値に示せるように努力する考えを示した。

COP26は、今年11月に英北部グラスゴーで予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、来年に延期されることになった。

小泉環境相は、政府の未来投資会議で環境・エネルギーが議論されることになったことについて「エネルギー基本計画の見直し作業のかなり前から、環境・エネルギーを議論する場が官邸にできたのは、政府全体として危機感を持ってきた表れだと前向きに評価している」と評価。日本の主力電源を再生可能エネルギーにしていくというのは、環境省だけではなく、政府全体の統一見解だとし、2030年の再エネ22─24%という現在の目標について「こんなものではないと思う。これが上限ではない。できる限り伸ばす」とし、各省との話し合いが進めば、さらに上積みさせたいかとの問いに対し「そうしたい」と語った。 

この日、小泉環境相はテレワークで、自宅からWebを通じてインタビューに答えた。現在、環境省は1200人のうち、650人がテレワークを行っているという。ただ、安倍晋三首相が求める7割減には達しておらず、「環境省がまず7割、出勤者を減らす。そして、国民の皆さんに、まず、我々から行動するということを見せていきたい」とした。

(竹中清 清水律子 編集:石田仁志)