[東京 10日 ロイター] - 日銀が10日に発表した3月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比でマイナス0.4%となった。マイナスに転じたのは2019年10月以来。前月比は0.9%低下で、2カ月連続のマイナスとなった。

新型コロナウイルスの感染拡大が中国から米国や欧州など世界的に広まったことを受け、原油をはじめ石油・石炭製品や非鉄金属など市況性の強い製品の価格下落が、前年同月比の上昇率縮小に寄与した。

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国で構成される「OPECプラス」の追加減産協議がいったん決裂したことで原油価格が急落し、指数全体の押し下げにつながった。

消費税を除いたベースでは前年比2.0%低下、前月比では0.9%低下で、ともに2カ月連続マイナスだった。

消費税を除くベースで、前月比の下落に最も寄与したのは石油・石炭製品(同マイナス11.9%)で、2019年10月のマイナス15.5%以来の下げ幅となった。

続いて、非鉄金属(同マイナス9.3%)、化学製品(同マイナス2.7%)。いずれも、新型肺炎の感染拡大を受けて、海外市況での価格が下落したことが影響した。

消費税を除いた実力値ベースで上昇・下落した品目を数えると、公表744品目のうち、前年比で上昇したのは336品目、下落したのは331品目と、下落が上昇を5品目上回った。

足元では、10日午前の時点で原油価格が1バレル20ドル台前半で推移しており、原油安が続いている。

国内企業物価の先行きについて、日銀の担当者は「今月は、特に市況性の高い商品で価格の下落がみられたが、これによって他の項目にどのような影響が出るか、引き続き注視したい」と述べた。*内容を追加しました。

(浜田寛子)