[東京 8日 ロイター] - みずほ信託銀行の梅田圭社長は、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、日本でも株主がインターネットを通じて参加する「バーチャル株主総会」の動きが広がるとの見方を示した。ロイターとのインタビューで語った。みずほ信託は、企業への証券代行業務の一環として、総会運営のアドバイスをしている。

総会ラッシュの6月を控え、すでに大手企業を中心に「十数社から相談を受けている」という。個人株主の多い企業からのニーズは強いとみており、対応する人員の拡充や、システムを手掛けるITベンダーとの連携強化といった備えを進めるとした。

梅田社長は「ネットでも参加できるよう利便性が高まれば、個人株主の参加率が高まるのではないか」と指摘。アクティビスト(物言う株主)の動きが企業に意識される中で「安定した株主構成を望む企業側のニーズは増えていく」とみている。

制度面からも、バーチャルな総会は開催しやすくなっている。経済産業省と法務省は新型コロナの影響を踏まえ、書面やオンラインでの議決権行使で定足数を満たせば、会場に株主が出席しなくても総会は開催可能との見解を示している。

みずほ信託銀のみずほフィナンシャルグループ<8411.T>内での役割としては、とりわけ不動産分野に力を入れる考えを示した。低金利の環境下で年金基金など機関投資家は国内債券中心から運用の多様化に軸足を移しており「オルタナティブの運用ニーズがこれまで以上に膨らんでいく」とみている。

新型コロナによる経済への悪影響が懸念される中では、資金繰りが逼迫している中堅・中小企業に流動性を提供していくことが金融機関の最大の使命と指摘。企業の財務面の見直しニーズが増えるとみており、所有不動産の売却による資金調達や資産の流動化などを提案し、企業の資金繰り不安に応じる考え。

梅田氏は1988年慶大経卒、安田信託銀行入行。福岡県出身。不動産業務を中心に歴任し16年に常務執行役員。1日付でみずほ信託銀社長、8日付で信託協会会長。

(平田紀之、梅川崇)