[東京 8日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比89円73銭高の1万9039円91銭となり、続伸歩調となった。国内ではきょうから緊急事態宣言の効力が発生するが、経済対策も含めて前日までに株価に織り込まれていたとの見方が多く、方向感が定まらない動きとなっている。アルゴ取引によって上下に変動する場面がありながらも、日経平均は大きな振れとはならなかった。

7日の米国株式市場は、主要3指数が小反落した。ニューヨーク州で新型コロナウイルスに感染した入院者の増加ペースが安定の兆しを示している一方、死者は前日から731人増え、1日当たりの死者数としてはこれまでで最多となるなど、予断は許さない。

武漢市で封鎖が解除されたことで中国株の動向が注目されたものの、中国国内では再び感染者数が急増したこともあって、上海・香港両市場は軟化して始まった。このほか、新たな手掛かり材料は見当たらず、「材料出尽くしで方向感が見いだしにくくなっている」(国内証券)という。

日経平均で1万9000円は、1月17日の年初来高値2万4115円95銭から3月19日の安値1万6358円19銭まで押した幅の3分の1戻し(1万8944円11銭)を少し超えた水準となる。市場では「3分の1戻しから、半値戻し(2万0237円07銭)までの間は、戻り売りが厚くなるとみられ、ここからがテクニカル的にはリバウンドの正念場になる」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)との声が出ていた。 TOPIXは0.59%高で午前の取引を終了。東証1部の売買代金は1兆2505億3700万円となった。東証33業種では、空運業、陸運業、証券業などの上昇が目立ち、鉱業、石油・石炭製品などが値下がりした。個別では、トヨタ自動車<7203.T>が上昇する一方、ソニー<6758.T>が安いなど主力の輸出関連株は高安まちまち。東武鉄道<9001.T>をはじめ電鉄株が買われたが、ソフトバンクグループ<9984.T>はさえない。 東証1部の騰落数は、値上がりが1307銘柄に対して、値下がりが791銘柄、変わらずが70銘柄だった。

日経平均はしっかり。朝方、買い優勢で始まった後は一時200円を超す下げとなったものの、その後は切り返し1万9000円前後で推移している。市場では「立ち会い時間中に上下に株価が振れるが、アルゴ系の注文で行き来するような感じで、相場の方向感は出ていない」(国内証券)との声が出ていた。

寄り付きの東京株式市場で、日経平均は前営業日比97円58銭高の1万9047円76銭となり、続伸した。その後、上げ幅を縮小し、一時マイナス転換した。

業種別では、パルプ・紙、保険、電気・ガスなどが高い。半面、鉱業、鉄鋼、不動産、小売などは軟調。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い日本で緊急事態宣言が発令されたが、その効果を見極めるには一定の時間がかかる。前日の米国株や為替の動きは日本株の方向を決定づける要因にはなりにくい。巣ごもり関連、オンライン診療、マスク、食品、ゲーム関連など、個別に循環物色する動きが出るとの見方も出ている。

市場関係者によると、寄り前の板状況は、トヨタ自動車<7203.T>、ホンダ<7267.T>、ソニー<6758.T>が売り優勢。キヤノン<7751.T>は売り買い拮抗。パナソニック<6752.T>は買い優勢となっている。

指数寄与度の大きいファーストリテイリング<9983.T>は買い優勢。ファナック<6954.T>は売り買い拮抗。

メガバンクでは、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>、みずほフィナンシャルグループ<8411.T>が売り優勢となっている。

*内容を追加します。