[サンフランシスコ 7日 ロイター] - バーナンキ元米連邦準備理事会(FRB)議長は7日、新型コロナウイルス感染拡大抑制策で経済活動が停止する中、米経済は第2・四半期に30%を超えて縮小する恐れがあり、経済が立ち直るまでに数年かかる可能性があるとの見方を示した。

バーナンキ氏は米シンクタンクのブルッキングス研究所で行われたイベントで、新型ウイルス感染拡大に対応してこれまでに打ち出された財政政策、および金融政策は適切だったが、さらなる対応が必要とし、「全般的には経済に極めて悪い年になる恐れがある」と指摘。「経済の再開に向け実施できることはあるが、再開が危機の再燃につながらないという、より強い確信が得られるまで、経済は通常状態には戻らないと考えている」と述べた。

その上で、過去の事例を踏まえると、回復が続く期間は2007─09年の世界的な金融危機後の回復期と比べると格段に短くなると予想。米経済は回復するが、数年間の回復はわずかなものになるとの見方を示した。

新型コロナワクチンの実用化は早くて1年先とみられる中、今後のウイルス感染の推移が不況の期間や深刻さを決定づけるとし、新型コロナを終息に持ち込めれば、経済はもちろん急速に回復するが、実際には経済活動の再開は段階的とならざるを得ないとみられ、感染が再び拡大した場合、経済の再開は先送りを余儀なくされる恐れがあると語った。

FRBの政策については、必要に応じてバランスシートを拡大し、銀行融資支援などの措置を講じることが可能とした。

また中小企業の立ち直りが不可能な場合、企業の集中化を招くほか、消費者が新たな危機への恐怖心に取りつかれたり、クルーズなど観光業界が一変してしまう可能性もあり、こうした状況は「禍根」として残り得ると指摘。さらに景気が著しく好転するまでに1ー2年はかかるだろうと警告した。

*内容を追加しました。