[テルアビブ 6日 ロイター] - イスラエル中央銀行は6日、政策金利<ILINR=ECI>を15ベーシスポイント(bp)引き下げ、0.1%とすることを決定した。利下げは2015年初旬以来初めてで、金利は過去最低水準。中銀総裁は景気がさらに悪化した場合はマイナス金利政策の導入も辞さない考えを示した。

中銀は利下げと同時に、中小企業への融資拡大を目的に、銀行に対し0.1%の固定金利で期間3年の融資を実施することも決定。規模は50億シェケルになるとした。

中銀は18年11月に利上げを実施した後は10会合連続で金利据え置きを決定。今回の会合について、ロイターがエコノミスト12人を対象に実施した調査では、金利据え置きと0.1%への利下げで予想は割れていた。

ヤロン総裁はテレビ会議方式で実施された記者会見で、3月末までにイスラエルの経済活動の37%がまひ状態に陥り、個人消費の27%が停止したとし、第1・四半期は5%のマイナス成長になるとの見通しを表明。利下げは「家計や企業の借り入れコストの引き下げに直ちにつながり、この危機の克服に当たり経済活動の回復を支援する」と述べた。

その上で、経済情勢が一段と悪化すれば、中銀は既存の政策の拡大に加え、経済への影響を最小限に食い止めるために新たな政策ツールを利用していくと述べた。

中銀は20年のイスラエルの経済成長率はマイナス5.3%になると予想。ただ21年はプラス9%近辺に戻すとの見方を示した。

金利水準について、中銀のエコノミストは20年は0─0.1%の範囲内にとどまると予想。21年は0─0.25%になるとした。インフレ率については20年がマイナス0.8%、21年はプラス0.9%になるとし、中銀が目標とするプラス1─3%を下回り続けるとの見方を示した。

イスラエルでは新型コロナウイルスの感染者数は約9000人、感染による死者数は51人。

通貨シェケル<ILS=>は対ドルで1.1%下落した。