【NY発】これが「家庭内パンデミック」の全記録だ

2020/4/7
もう二度と家族の顔を見れないのだろうか。数秒おきに、後悔の念に襲われたーー。
新型コロナへの感染は、いつあなたの身に起こってもおかしくはない。そして一度感染すると、あなたの家族全員が巻き込まれる。
今回、NewsPicks編集部はニューヨーク在住のクリエイターであり、新型コロナと思われる苦しい症状を、詳細に記録した清水幹太さんを取材した。
ちょっとした油断から感染して、高熱に苦しみ、呼吸が苦しくて立ち上がれなくなり、妻や子どもたちにまで感染する。
そんな「自宅パンデミック」にまで陥った様子を、克明にレポートする。
米ニューヨーク在住のクリエイターで、BASSDRUM共同創業者の清水幹太氏(写真:本人提供)
(編集部注:この記事は清水さんが執筆したブログを基に、NewsPicksによるインタビュー内容を、加筆・編集しています)
まだ飲み会も「大丈夫だ」
3月19日時点でのニューヨーク市の感染者数は1,871名。
学校はすべて休校になっていたが、完全なリモート授業はこの段階では始まっていなかった。(編集部注 4月5日時点のニューヨーク市の感染者数は6万人超)
日を追うごとに非常事態の深刻度が大きくなっていく、そんな状況を目の当たりにして「これは書かなきゃ」なんて思い文章を書き始めた。
ニューヨーク(以下 NY)の街は歴史上類を見ない閉鎖状態。株価が乱高下、歴史の渦の中に生きていることを意識した。
新型コロナウィルス感染はまあ、家に閉じこもっていれば大丈夫だろう。
それより、新型コロナ流行に伴う人間の行動が恐ろしかった。経済の落ち込み、失業者の増加による治安の悪化、暴動も怖い。家族を守るため、そういう意味でまだ安全な日本に戻ろうと、3月23日の便で日本に帰国できるよう手配を行った。
ニューヨーク州のクオモ州知事は3月7日から非常事態宣言を出していた(写真:gettyimages/Pacific Press )
妻は空港への移動、あるいは空港内の移動の間のウィルス感染を恐れていたが、私はウィルス感染は隕石に当たるようなものだろう、普通に気をつけていれば大丈夫だろう、と高をくくっていた。
清水 実は、3月15日の夜は友人と会食予定でしたが、仕事のミーティングが急きょ入り、欠席になりました。
この時点では、NYは新型コロナは大変だけれど、外で食事をしても大丈夫という雰囲気で、みんなけっこう外で飲食をしていました。16日から、レストランがデリバリー限定になりました。
微熱があって「嫌な予感」
3月18日深夜(日付は19日)の日記の冒頭にこんな記録がある。
あろうことか、なんか体調が悪いのだ。元看護師の妻に伝えると、鼻うがいセットを用意してくれた。オエッとしながら鼻にうがい薬を通したり、いろいろやることになった」
「当然ながら、外に出てはいけない。参った。非常に憂鬱だ。とりあえず様子を見る」
このとき、喉の奥がややいがらっぽかった。37.2度くらいだが、微熱もあった。嫌な予感はしていた。まあ、しかし、そんなはずはないと思っていた。