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繰り返しになりますが、米国は、中国を巻き込んだ新たな核兵器の軍備管理の枠組みを構築したいと考えています。そのため米国は、米国とロシアの二国間の枠組みであるINF全廃条約から撤退し、2019年8月にINF全廃条約は失効しました。米国は、INF全廃条約が失効した約2週間後の8月19日、地上発射型の中距離巡航ミサイルの発射実験を行ないました。
同月21日、エスパー米国防長官は、テレビのインタビューで、米国が実施した中距離ミサイルの発射実験について、「中国の悪質な行動を抑止するためにも、米国として中距離ミサイルの開発が必要だ」と述べています。
中国の核弾頭を搭載した中距離ミサイルは、米国本土に届く兵器ではなく、主として戦域核兵器として用いられます。戦略核兵器では、戦域核兵器の使用を抑止することができません。戦域核兵器を抑止できるのは、戦域核兵器なのです。米国が、中国を巻き込んだ核抑止のルールを作り、軍備管理の枠組みを構築したいと思えば、中国が持つ戦略核兵器および戦域核兵器それぞれに対抗できる兵器を持つ必要があります。
ただ、中国の地上発射型中距離核兵力に対抗するための米国の地上発射型中距離核兵力は、展開する場所が問題です。記事が言うように、第一列島線のどこかに配備せざるを得ないのです。オーストラリア北端に配備しても、中距離ミサイルでは北京をカバーできません。
そして、第一列島線の中で最も有力なのが日本です。韓国は、新北朝鮮の政策をとり、中国寄りの態度を示しているため、米韓関係はギクシャクしています。台湾は、中国に対抗するミサイルを配備するには敏感過ぎ、フィリピンは頼りになりません。日本ほど政治的に安定した国はなく、同盟国としての米国への信頼が厚く、水や燃料は高品質で補給に問題なく、米国に負けないほどの技術があります。問題は日本国内です。日本政府は、現状では核兵器の配備を認めることはできないでしょう。
それより大きな問題は国際秩序の変化でしょう。中国は新型コロナウイルス感染拡大の危機に乗じて世界のリーダーたろうとし、米国はこれを許さないでしょう。コロナウイルスとの戦いで中国のリーダーシップが強くなれば、米国は軍事的圧力を用いて優位を回復しようとするかも知れません。