【新企画】プロに学ぶ、絶対に忘れない「財務指標」の覚え方
そんなビジネスパーソンに向けて、NewsPicks編集部が月ごとにテーマを設定し、専門家による解説をお届けする新企画「プロピッカー新書」。毎週末に記事を掲載し、計4本で「新書1冊分の知識」が身につくはずだ。
今月のテーマは「財務」。投資銀行のバンカー、上場企業のCFOを歴任した、プロピッカーのAki Mori氏が講師役を務める。
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NPに財務ネタを寄稿しました。
NP編集部から「4月で新生活・新社会人・部署異動が多いので、定番の財務・会計系の記事をやりたいです。第1回はROE/ROIC/ROA系で!」とお話しをいただきました。
日曜日連載の休日シリーズですので軽いタッチです。
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ROE系は企業・経営者にとって大事な指標です。でも語り尽くされている感あるネタなので書く方は結構難しい。
果たして「ROE 計算法 🔍(検索)」のGoogle先生に勝てるのかなあと思いながら、編集部の泉副編集長(週刊ダイヤモンド出身)や友人でSPEEDAアナリストのKato Junさん(エンゲージメントファンドのみさき投資在籍経験あり)とディスカッションしながら記事化しました。
議論する中で、「私はそういえばROAは実務ではほとんど使ってない」と気付いたり、「ポスト・コロナで余剰資本の考え方が変わるかも」「自分が投資するなら、タピオカ屋みたいな流行り廃りの稼業の必要なROE = 資本コストは高くなるよね」という話にも及びました。
皆さまからコメントをいただけましたら幸いですー!
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次回以降は財務レバレッジ(銀行・格付機関側の指標)や株価に関連する指標(株主・投資家側の指標)などの予定です。
<追記>
古参の財務系匿名ピッカーKing HIDIEさんが「製造業ではROAは大事。その理由は・・・」とコメントしてくださいました。なるほどー。ありがとうございます!
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「ROなんちゃら」って、どうしてそんなにあるの?どういう時に使うの?式の説明はあっても、肌感をもって使いこなすにはギャップがあるかと思います。
会計士としてキャリアを始められ、GSで顧客企業のアドバイザリーや戦略投資、またレノバで株主だけでなく銀行などいわゆるDebt IRまで、様々な観点で企業と資本市場の間で経験されたAkiさんだからこその「勘所」のエッセンスが詰まった記事で、ぜひ見ていただきたいです!
自分自身は、ざっくりと言えば
・ROIC(※ただし調整する、後述)は、事業経営を見るため
・ROE・WACCは、企業経営を見るため
に使っています。
良い事業を持っているか・事業に必要な資産に対しての利益率がROIC。
自分はICは「事業に必要な資金」と考え、負債・純資産サイドではなく、資産サイドから考えます。例えば持ち合い株は取り除くなど調整をします(調整も色々あり、例えばビルを持っている・借りているをどこまで調整するかとか色々考えます)。ROICが高いと再投資に必要な資金も少なく成長もしやすい。
興味がある方は是非キーエンスを例に考えると面白いと思います。ファブレスで資産をほとんど必要としないですが、財務諸表には現金などがたんまり。事業経営に必要な資産だけ抽出・調整すると、ROICが極めて高い企業ということが分かります(ROE15%前後ですが、ROICはざっくり100%くらい)。
企業経営は、事業を強くすることに加え、お金の出し手との最適な関係性作りも含みます。
なので、事業の収益性やリスク(利益のボラ)に対して、適切な調達をできているかをROEや、ROIC>WACCで見ます。ボラがあるので、単年度より定常状態(Normal)とワーストケースも考えて見ます。固定費が重い事業は、絶好調の時はROEが高くても、景気悪化では一気に損失がでる、などを考慮するためです。
タピオカ屋のROE・ROICも、ボラ(事業の賞味期限含め)で考えて、記事と併せて読んでいただくとイメージが湧きやすいかと。
記事作る際に、お話ししながら記事に起こすという形でやらせていただいたのですが、話しているだけで楽しく、あっという間に3時間経っていました(笑)
次回以降もお楽しみに!Stay at homeの時期なので、Study at homeの良い機会になれば!
Aki MoriプロはNP初期から分かりやすい解説と鋭い指摘、会計士及びバンカーとしての厚いご経験を踏まえたコメントで沢山勉強させて頂きました。超尊敬するPickerの1人です。
ただ一点、ROAに関しては製造業一筋の私からすると少し見解が異なります。
ROAに関し、資本市場サイドからは使い勝手が良くないのは同意です。しかし、「会社の事業やオペレーションに近いところでは、他のKPIの方が重要です」という点に関しては、むしろ「誰にでも分かりやすく、事業オペレーション別に分解してKPIとして落とし込みやすい」というところが、私が思うROAの存在意義です。
たぶん製造業独特の感覚だとは思います。ROEにしろROICにしろROAにしろ、極論すれば「少ない資金=少ない資産で沢山の利益を上げてるか」を見る指標である以上、製造業においては棚卸資産の多寡と固定資産の効率性が肝になります。
となると、「資産(資金)の元手」側で話をするよりは、「資産そのもの」の言葉で話をして、KPIを設定して実行する方がコミュニケーションとして有効なのです。指標としては原材料や製品の手持月数や固定資産回転率等です。そこから更に現場の言葉に落とし込んでいきます。例えば、棚卸資産の多寡に関して、生産計画部門や調達部門とリードタイムで話をしたり、工程間の中間仕掛を減らそうところまで話するならば生産技術部門とタクトタイムで話をするといった感じです。品質関係のKPIも絡んできますね。生産ライン上の品質KPIが良ければ無駄な資産持ちませんので。
私自身は経営者と話すときはROICを多用します。しかし、事業サイドの人間と話す時は資産側の言葉に置き換えて話をしています。
https://newspicks.com/news/3172985?ref=user_225356
余談ですが、経営者ですらROICを理解できない事も多々あるので困ったものです(これが日本の経営の実力なんだと思います)。定型的に報告を求められる時は必ずPLから説明をさせられるのですが、私は必ずBSの話を勝手に付加するか、勝手にBSサイドから報告をします。
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