【ポイント解説】原油暴落が「直撃」する債券、通貨、株式
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ロシアの思惑どおり米国シェールオイルの破綻がはじまっています。しかし、そのロシアも原油安で収益が減り、通貨安がさらに追い討ちをかけています。
米国とロシアの国の威信をかけた戦いが、パンデミック の中で繰り広げられているという異常な状態。金銭面の体力勝負では米国が有利だが、COVID-19の死者が尋常ではない。世界経済への影響ははかりしれない。原油が1バレル20ドルとなれば、大打撃を受けるのは米国のシェール・オイル企業だけではありません。ほとんどの産油国で国家財政の歳入が激減します。その国の国民経済と行政が立ち行かなくなる国も出てきます。
特にアフリカの産油国、ナイジェリア、アンゴラ、セネガル、ガーナといった国は、近年、原油の採掘と増産によって経済が急成長してきました。これらの国は、日本にとっては、原油の輸入元ではないのであまり意識されませんが、欧米の石油会社が、原油供給減を多様化すべく、開発を続けてきた結果です。これらの国は、原油による歳入で返す前提で対外債務を急膨張させています。ナイジェリアは国家の歳入の65%が石油関連です。それが半減以下になり、しかも自国通貨は急落しているのですから、対外債務の返還はもはや困難でしょう。これが、アフリカや中南米の産油国が原油安の波及で共通して陥っているパターンです。
欧米の石油会社は、アフリカや中南米などでの原油開発を進めてきて、アフリカ経済を大きく変貌させました。欧米の原油輸入元は多様化しました。これは、サウディアラビアなどOPEC諸国の世界的なシェアが長期に渡って下落してきたということでもあります。シェアを失えば、OPECが一致して生産調整しても価格を自由に上下させることができなくなります。OPECの中心であるサウディアラビアにとっては、長い目で見れば、重要な事態であったでしょう。新興の産油国を潰して、シェアを奪い返したいところでしょう。しかし、当のサウディアラビアも歳入激減で、国内で起きつつある危機は非常にリスクが高いものです。石油価格は国際情勢5割、思惑3割、実需2割と言われています。
確かに石油はだぶついていますがだぶついていても減産合意がされれば価格は上がります。
携帯3社のシェア争いと考えると分かりやすいです。例えば白い携帯会社がシェアをとるために採算度外視で物凄く安いギガプランを発表したとします。当然オレンジも赤も追随しますよね。シェアを落としすぎてしまうとコストをかけて作ったインフラの維持費すら出せなくなってしまいます。
安くなったからと言って市場が広がる訳ではありません。この例だと実需は関係ないですよね。
石油市場でも同じ構図です。だから国際情勢5割なのです。