【転換】親切も感染リスク。コロナ時代の「人助け」を考える

2020/3/31

コロナで広がる「親切の輪」

クラーク・ハメルは1週間以上、ブルックリンのアパートに引きこもっている。ハメルは24歳だが、コロナウイルスに感染する危険を冒すことができない。10代の頃から関節リウマチを患っており、痛みを緩和するために免疫系を抑制する薬を服用しているからだ。
だが、ハメルとパートナーは完全に孤立しているわけではない。同じアパートに住む別の若いカップルも、自らを外界から隔離する生活を送っている。一種の友情の証だ。
彼らが外に出るのは日用品を買うときだけ。そのたびに食料と消毒された牛乳をバッグに入れてハメルの部屋の前に置いていく。
ニューヨークは誰も隣人のことなど気にしない大都会として有名だが、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、隣人同士が助け合うケースが増えている。
最近までエレベーターに乗り合わせた同士で無言の会釈をする以外に隣人との接触を持たなかった人々が、今は隣人のドアをノックしている。処方薬を取りにいく、スーパーマーケットの特売品をついでに買う、高齢者に対して遠方にいる子供たちとの連絡役を買って出る──などなど、さまざまな手助けを申し出るためだ。
ブルックリンのアパートに「引きこもり」中のクラーク・ハメル(Laylah Amatullah Barrayn/The New York Times)

支援活動の「安全性」に警戒感