[ロンドン 29日 ロイター] - 世界銀行グループの国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人は29日付のオピニオン記事で、各国の政府と中央銀行に対し、新型コロナウイルス感染拡大で危機に直面する国内経済を支援する緊急対策を強化するよう求めた。

同氏は、2008年の世界的金融危機への対応で講じられた措置を上回る「緊急の」対策が必要だと指摘。「新型コロナで急停止した経済を乗り切る命綱を提供するため、危機に瀕した企業と貸し手の間の『ラストマイル』をつなぐ措置が必要だ」とした。

同氏はまた、主要国の中銀は世界の金融システムに数兆ドルを供給しているが、こうした資金はそれを必要とする個人や企業に直接届かなければ意味がないと指摘。

「ラストマイル」をつなぐための最初の措置は、銀行による資本バッファーの活用だとし、同時に銀行の配当と自社株買いを世界的に凍結する必要性も挙げた。

その次の措置として、政府が保証する中小企業向け融資を提言。対象は昨年に黒字だった企業に限定し、融資額は昨年の納税額とするという。

カルステンス氏はこれらの緊急措置を「世界で実施する」必要があると指摘。世界のサプライチェーンの崩壊防止に向け、中銀のドルスワップ協定を流動性供給に活用すべきとした。